男性介護者も取りこぼさない、介護者支援のユニバーサルデザイン

日本は在宅介護の担い手が足りない?
超高齢社会の日本では、人生の最期をどう生きるかを考える「エンドオブライフケア」に関心が集まっており、多くの人が最期を自宅で過ごしたいと希望していますが、現実は難しく、多くの課題があります。一方、医療の現場では、年々増加する医療費を抑えるために、入院から自宅療養へ移行する方針が取られています。以上の理由から、在宅看護や在宅介護の担い手が強く求められているのです。調査によると家族を介護する人の3割は男性ですが、男性介護者は女性とは異なるさまざまな困難を抱えています。
男女で異なる介護者支援のニーズ
例えば、男性介護者は家事ができないことが多く、また困ったことがあっても周囲に助けを求められない傾向があります。中には社会的に孤立して、追い詰められて事件にいたるケースも見られます。また同じ男性でも、夫は妻の身体介助(入浴や排せつの世話)ができますが、息子は母の身体介助ができにくいという課題もあります。さらに男性と女性では、介護者支援に対して求める内容に違いがあることもわかりました。女性は「よく続けて、頑張っていますね」と感情的に支えてもらいたい、男性は具体的な介護の技術や工夫を教えてもらい、同時に認めてもらいたい、という傾向が見られます。そこで、男女別に家族介護者の集いを設けるなどの支援がなされています。
介護者支援のユニバーサルデザイン
育児・介護休業法が制定・施行されて以降、社会の環境も少しずつ変わってきました。介護休業を取得する男性はまだ少数ですが、育児休業を取得する男性が増えました。おむつ交換や家事を経験した男性ならば、将来、家族の介護がしやすくなると考えられます。また、男性介護者が女性の下着を買いやすくするために、介護用品売り場に女性の下着を並べる店舗も現れました。これは男性だけではなく、女性にとっても一度に買い物ができて便利です。このような「誰にでも暮らしやすい」ユニバーサルデザインが、介護の分野にも広がりつつあります。
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