日本人の「やせ神話」への警鐘

赤ちゃんが小さくなってきた
日本では、赤ちゃんの出生体重が40年前に比べて約200g減少しています。そして、日本で生まれる赤ちゃんのおよそ10人に1人が2500g未満(低出生体重児)で生まれています。日本の出生数に占める低出生体重児の割合は、先進諸国の中で最も高い割合です。
低出生体重児が生まれる原因の一つに、日本人女性のやせ傾向が関係しているといわれています。赤ちゃんの出生体重と母親の体格は比例することがわかっているので、母親の体格を調査してみる必要があります。
日本人女性のBMIデータから見えてくること
ボディマス指数「BMI」は、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で表せます。健康で病気になりにくいとされる基準値は「22」です。日本では普通体重とされるBMIは18.5~25未満で、それより低いと低体重(やせ)に分類されます。日本の若い女性のBMIの平均値は約21で、普通体重の中でもやせ傾向にあります。やせ傾向とは、やせ型とは別に普通体重に分類されている中で、標準より少し体重が軽い「やせ傾向」の人たちです。日本の若い女性の多くはやせ傾向にあります。
見過ごされる、「やせ傾向」の妊婦
日本には「やせている女性が美しい」という「やせ神話」が広く浸透していて、妊娠中でも太りたくないという思いの女性が多くいます。やせ傾向の女性が妊娠すると、BMIが22以上の人に比べて赤ちゃんの体重が軽く、低出生体重児で生まれる割合が高まります。低出生体重児で生まれた赤ちゃんや出生体重が軽い赤ちゃんは、将来生活習慣病にかかるリスクが高くなります。もし、このまま低出生体重児の増加や出生体重の減少が続くと、将来、日本の疾病構造が変化してしまうかもしれません。
今まで、やせ傾向の妊婦は普通体重に分類されるため、着目されることが少なくリスクが見過ごされていました。日本女性の多くを占めるやせ傾向の妊婦のリスクに着目することは、日本の低出生体重児の増加や出生体重の減少を予防・改善することにつながります。
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