幼児教育で生じる「ズレ」 子どもをより深く理解するために

保育で生じるズレ
幼児教育の現場では、子どもが予想外の言動をして大人を驚かせることがあります。そのことを後で振り返ったとき、保育者は「なぜ子どもはあんなことをしたのだろう」と疑問を抱くことが大切です。保育者の予想と子どもの言動の食い違いを「ズレ」といいます。振り返りによってズレを認知し、新たな気付きを得ることで、子どもへの理解がいちだんと深まっていきます。
熟練の保育者にも多いズレ
保育者が経験したズレの事例を5つに分類し、その特徴の分析がなされました。カテゴリーの一つが、「計画の遂行・強い信念によるズレ」です。これは柔軟性がなく計画どおりに保育を進めることや、保育者の独りよがりな信念を持って接したときに見られます。例えば保育者が「この遊びをすれば楽しんでくれるだろう」と思って実施したものの、活動が終わったあと子どもたちが「もう遊んでいい?」と聞いてきた事例がありました。子どもにとってそれは遊びではなかったのです。このようなズレを、熟練の保育者ほど多く捉える傾向があります。目の前の子どもの思いや願いを置き去りにした計画へのこだわりや信念がズレを生んでしまうのです。
ズレに向き合い成長する
中には子どもが保育者の予想を上回る姿を見せるなど、喜びにつながるズレもあります。そのため、ズレが生じてはいけないわけではありません。なぜズレが生じたのか、何が大切だったのかに目を向け、保育を問い直すことで、子どもにとってよりよい保育を創造することができます。同時に、保育者の成長や自信につながることも期待されます。
これを証明するために、園内研修で行う「ズレの認知 わくわくプログラム」が構築されました。研修ではまずズレの概念や重要性を学び、日常で感じたズレの事例を語り合います。その後は1カ月間、ズレを捉えるための行動目標を各自で設定してセルフチェックを行います。これをくり返すことで、保育者の意欲や自信といった効力感がどう変化していくのか、現在、データの収集と分析が進められています。
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