手話は一つの言語 「手話言語条例」が制定されたプロセスとは?

ろう学校に「手話禁止」の時代があった?
日本手話は、明治初期に耳の聞こえない子どもたちを集めて行った「ろう教育」の中で、完全な言語として確立したと考えられており、その後、全国各地でのろう学校建設に伴い広がっていきました。しかし昭和初期になると、口の動きを読み取って言葉を発声する「口話(こうわ)教育」がろう教育の中で推進され、その妨げになるという理由で手話を使うことは禁止されました。ろう者にとっての手話は、日本人にとっての日本語と同じように、自然に身につけることができ、それが思考や人格の土台となる大事な言語です。ろう教育の中でろう者の母語である手話が禁止・剥奪されたことは、ろう者であることの誇りや人権、自分らしさを奪うことになります。その状況は平成初期まで続きました。
手話の「発見」から法律制定へ
1995年に発表された「ろう文化宣言」では、これまで「聴覚に障害がある者」として見られていた「ろう者」のことを「日本手話という、日本語とは異なる言語を話す、言語的少数者である」と明示しました。この文化人類学的な「発見」は、聴覚障害の無い者(聴者)にとっては大きな驚きをもって受け入れられました。さらにインターネットの普及により手話の重要性が広く知られるようになり、ろう教育の現場でも手話が見直されていきました。現在では多くの自治体で「手話言語条例」が制定され、2025年には国の法律として「手話施策推進法」も制定されました。
当事者の声を生かすために
近年、福祉に関する法律や政策をつくるときに、当事者が政策づくりに参加することが多くあります。しかし、当事者の思いや要望が十分に反映されていないと批判されることもあります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
その意思決定の仕組みを明らかにするために、条例の制定過程に注目し、当事者、議員や行政職員などの関係者の間で行われる調整や議論が調査されています。
このような研究は、当事者の声を政策によりよく反映させるための手がかりになると考えられています。
参考資料
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日本社会事業大学 社会福祉学部 ソーシャルワーク学科 講師 二神 麗子 先生
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