大人になるとは? 親子とは? 民法を通して考える

大人になるということ
平成30年の民法改正によって、成人年齢が20歳から18歳へと引き下げられました。法律的に未成年か大人かということは、親との関係を抜きにして考えることはできません。
民法では、未成年が自分で契約することを禁じています。そのため、例えば未成年者が高額なゲーム機を親に無断で買った場合、親はこの契約を取り消すことが認められています。また、未成年者がスマートフォンばかり見ることが成長のためによくないと判断した場合、親はこれを取り上げることができます。逆に、未成年者に教育を受けさせて、身の回りの世話をすることは、親の義務として定められています。
ローマ法の時代から
法律の世界では、親子の関係についてローマ法の時代から考えられてきました。「嫡出推定」も当時につくられた制度です。これは結婚期間中に妻から生まれた子を、原則的に夫の子であるとみなす制度であり、親子関係を早期に確定させることで子の利益を図ることを目的としています。現代であれば、親子関係は遺伝学的に証明できますが、そうした知識がなかった時代から、親子関係を特別なものとして取り扱う視点があったのです。こうした考えはローマ法からフランス法、ドイツ法、そして日本の民法にも引き継がれ、現在も親子関係を考える上での軸になっています。
大きな改正が続く
日本における嫡出推定制度は、戸籍のない子どもや児童虐待といった問題を背景として、令和4年に見直されました。令和6年にも、父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されるなど、民法の分野では大きな改正が続いています。さらに同性婚や夫婦別姓といった問題について法改正を望む声も多く聞かれるようになりました。
社会の実態に合わせて、どんどん改正されていく点は民法の特徴でもありますが、一方で「決して変えてはならないこと」もあります。そうした守るべき軸を見極めながら、人と人のより良い関係について考えることが、民法を研究することの大切な意義なのです。
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