「ゆとり教育」は失敗だったのか?

自分で考える力を養う「ゆとり教育」
日本の教育方法はもともと、大学に入るための学力をつける教育で、教科書を開いて先生の授業を聴きながらひたすら暗記する詰め込み型の教育でした。それは良くないという声を受けて登場したのが、2002年度から2010年代はじめごろまで行われた「ゆとり教育」です。
ゆとり教育では学習内容・授業時間を減らした分、児童・生徒が考える力や課題解決の能力を身につける「総合的な学習(探究)の時間」が設けられました。例えば小学校では、地域に出てお店の人にインタビューしたり写真を撮ったりして教室に持ち帰り、見聞きしたことをまとめてクラスで発表する、という学習が行われました。このような体験型学習は、従来の教科書中心の学びでは実現できなかったものです。学校の外に出て学ぶことで、子どもたちは興味を広げることができるのです。
画一的な教育からの脱却
ゆとり教育は「学力を低下させた」と批判されますが、従来の日本の画一的な教育のあり方を乗り越えた点で評価できます。それは小中高にかぎらず、大学での学びも同様です。今、日本の教育現場は生徒・学生の参加を促す「アクティブラーニング」へと移行しています。生徒・学生が疑問を出して考え、議論する授業が増えて、教員がしゃべり続けるだけの時代は終わりました。総合的な学習やアクティブラーニングは、生徒・学生の興味を広げて、物事の本質を見極める「クリティカルシンキング(批判的思考)」能力を鍛えるのです。
国際的な視野を育む教育の大切さ
さて、グローバル社会に生きる私たちには、「グローバル・シチズンシップ(地球市民)」の意識を持つことが求められています。一人一人の世界をよりよくしようという志が世界を次世代につないでいきます。国際的な視野は、英語が話せなくても、日本から出なくても身につけられます。大切なのは、外の世界に興味を持つことです。では、誰がその興味を持たせるのでしょうか。それこそが「教育」の役割なのです。
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