国際社会で必要な「グローバル・コンピテンス」とは?

国際社会で必要な「グローバル・コンピテンス」とは?

異なる立場を理解する

「VUCA時代」と呼ばれる未来の予測が難しい現代、グローバル化が進む一方、世界各地で排外主義が広がるなど、グローバルと反グローバルが日々せめぎ合っています。このような時代には、英語力や知識だけではなく、異なる文化や価値観を理解し、受け入れ、共生する力が求められます。これを「グローバル・コンピテンス」と呼びます。その核心は、異なるものを受け入れる度量と相手を理解しようとする姿勢にあります。

身近な異文化体験

それを内面化するために、興味や好奇心があれば日本にいても実践できることはあります。例えば、コンビニの外国人スタッフと文化的背景について話す、外国人コミュニティを訪れる、外国料理を食べるなどのことです。しかし、外国人との交流が身近になった一方で、現実には文化の違いから摩擦が生まれることも少なくありません。アメリカでは移民排斥の動きが強まり、日本でも外国人増加に対してデマや排外主義的な反応が見られます。
大切なのは、文化の違いによる摩擦が生じたときに相手を拒否するのではなく、理解しようとする気持ちを持ち続けることです。実際に異文化に触れると、日本人とは異なる文化や価値観が多く存在することがわかるはずです。それに触れたときに大切なのは、どちらが正しいか白黒つけることではなく、一度受け入れて自分の価値観を見つめ直す姿勢です。

内面的な成長が真の学び

従来の教育では、テストの点数で学習効果を測りました。しかし、グローバル・コンピテンスのような内面的な変化は数値化が困難です。現在、こうした価値観の変化を測定するツールの開発が進んでおり、留学前後での意識の変化などが可視化できるようになってきています。
目に見えにくい内面的な成長こそが、グローバル教育の成果です。この能力を習得した人が一人でも多く増えれば、真の多文化共生社会に近づけます。それは、互いを尊重し、多様性を豊かさとして受け入れる、平和で持続可能な社会への第一歩となるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

玉川大学 文学部 英語教育学科 教授 髙城 宏行 先生

玉川大学 文学部 英語教育学科 教授 髙城 宏行 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

国際教育学、異文化コミュニケーション学

先生が目指すSDGs

メッセージ

ストレスや不安のない居心地が良いコンフォートゾーンから抜け出し、ラーニングゾーンに足を踏み入れることで、新たな学びの機会を得て大きな成長が期待できます。私は大学卒業後、仕事で初めて海外に行き、日本と異なる環境で多くの経験を通じて学びへの意欲が湧き、想像以上の自分の可能性に気づきました。学生のうちは失敗を恐れず、チャレンジできる貴重な時間がたくさんあります。勇気を出して、コンフォートゾーンから一歩踏み出してください。

先生への質問

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玉川大学に関心を持ったあなたは

―8学部17学科がワンキャンパスに集まる総合大学!―「全人教育」の理念のもと“「人」を育てる”ことをめざす玉川大学は、8学部17学科の学生がワンキャンパスで学んでいます。61万㎡の広大な敷地には、各学科での深い学びに加え、学部学科の垣根を越えた学びの環境を用意。学外での体験型学修や、「使える英語力」を身につける「ELFプログラム」などの独自プログラムも実施しています。また、2020年4月に利用開始した「STREAM Hall 2019」では、農・工・芸術学部が学部の枠を越えた学びを展開します。