水産資源はおいしく食べて、有効活用! カギは「におい」の計測

まずは「おいしく食べられること」が大切
すしが世界中で好まれるようになったり、魚の健康効果が注目されたりと、魚を食べる人口が増えてきたことで、限りある水産資源の有効活用が課題になっています。また、内臓や骨などの廃棄物を減らすという課題もあります。それを受けて、水産加工業では、できるだけ魚を丸ごと食べて捨てる部分を減らすなど、いろいろな商品開発に取り組まれていますが、「おいしくなければ食べてもらえない」という大前提があります。
骨まで食べられる干物の開発
例えば、「頭も骨も食べられるアジの干物」の事例があります。栄養満点で、かつゴミが少なくなる画期的な加工食品と言えますが、ネックになったのは、焼き魚の触感を残すことでした。
硬い骨も、高温高圧で調理すれば柔らかくなります。しかしそうすると身が柔らかくなりすぎて、おいしさが損なわれてしまいます。そこで、身の触感を残したまま、頭と骨を柔らかくする加工方法の研究が行われました。その結果、事前に「焼く」工程を入れて水分を減らし、パックにした後に熱処理をすることで開発に成功しました。ほかの魚についても、歯の弱い高齢者向け食品の研究開発も行われています。
おいしく食べるカギは「におい」
魚をおいしく食べようとするときにネックになるのが、独特の「におい」です。時間経過や温度などの条件によってにおいの強さが変わること、また、味の評価を個人の味覚や嗅覚に頼るしかない状況が、魚製品の加工を難しくしていました。
近年は計測技術が発達して、においを計測する研究が行われています。香辛料、調味料、時間経過や温度など、さまざまに条件を変えてにおいのデータを取り、水産加工業の商品開発と製造に生かされています。研究成果の一例として、ショウガには、魚のにおいをカモフラージュするのではなく、においの発生自体を抑える効果もあることがわかりました。昔から経験的に「魚料理にはショウガを使うとよい」と言われてきましたが、それが科学的に証明されたと言えます。
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