目に見えない患者の体の中を推理! 生体科学・生理学の世界

心臓がドキドキするのはなぜ?
生体科学・生理学は、体の基本的な機能や仕組みを知り、暑いと汗が出る、おなかがすく、眠くなるといった人体の生命現象が起こるときに、「体の中で何が起きているか」を理解する分野です。
例えば、走ると胸がドキドキするのはなぜでしょうか。運動をすると体の組織が普段よりも多くのエネルギーを使うため、各組織に酸素をより多く届けようとして心臓のポンプ機能がアップし、心拍数も増加します。このように心臓のポンプ機能が強くなり、心拍数が増加した状態を私たちは「ドキドキ」と感じます。緊張したときや好きな人に会ったときにドキドキするのも、交感神経の働きなどによって、心臓の収縮が強く、心拍が速くなるからです。
看護師にも求められる「臨床推論」の力
この生体科学・生理学の知識は、医療の現場で「臨床推論」をするのに欠かせません。臨床推論とは、患者の訴えや症状などから、どんな病気の可能性があり、どんな検査・治療が必要かを考えていく思考プロセスのことです。脈が速い、呼吸が荒い、血圧が高い、話しかけても反応がないなどの目に見えてわかることから、医師は「体の中で何が起きているか」を推理するのです。
最近では、臨床推論は看護師が重症度や緊急度を判断するためにも重要だといわれています。例えば心電図検査はその波形から不整脈が見つかりますが、不整脈には危険なものとそうでないものがあり、生理学・生体科学の専門的な知識があれば「危険かどうか」まで読み取ることができます。
活躍の場が広がるNP
「NP(診療看護師)」は、専門知識や臨床推論などの高いスキルをもって、診断や治療にも主体的に関わる看護師です。資格をとるには経験を積み、大学院を修了する必要がありますが、救急医療や訪問看護、過疎地・離島医療などで活躍するNPが増えています。アメリカのNPは、できる業務の範囲が日本より広く、クリニックを開くNPもいます。日本でもNPの活躍の場が広がることが期待されています。
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