心拍のゆらぎを見れば、ストレス状態がわかる?

健康な人でも心拍のリズムにゆらぎがある
心臓が拍動するリズムは、規則的に見えて、実は微妙に変化しています。その心拍のゆらぎのことを、「心拍変動」と言います。
心臓の動きは、交感神経と副交感神経からなる自律神経によってコントロールされています。心拍変動が起こるのも、自律神経の影響によるものです。そこで、心拍変動の特徴から、交感神経と副交感神経の働きを推測する研究が行われています。これまでに、急激な変動のときは副交感神経が働いていることがわかっています。ゆっくりとした変動のときは交感神経が働いていると言われていますが、詳しいことはわかっていません。
客観的に緊張状態を把握できる
交感神経は活動時や緊張しているときに働き、副交感神経は、休息時やリラックスしているときに働く神経です。現在行われている研究では、立っているとき、寝ているとき、冷たい水に手をつけて刺激を加えたときなど、さまざまな状況における心拍変動を分析・観察しています。そこから交感神経、副交感神経の働きを推測すると、その人がどのような状況で緊張するのか、またはリラックスするのかが見えてきます。本人が自覚していなくても、これらの客観的な指標によって緊張状態にあることがわかる場合もあります。
ただし、交感神経は姿勢を変えただけでも働きます。精神的な緊張と、そうではない体の緊張をどう見分けるかは、今後解明すべき課題の一つです。
医療に生かせる可能性
心拍変動から自律神経の状態がわかれば、例えば企業の健康診断などで従業員のストレス状態を把握するのに役立ちます。何をすればリラックスするのかを知ることで、ストレス解消による心身の調整に生かすこともできるでしょう。また、ある心臓疾患では、特徴的な心拍変動が起こることがわかっています。それが自律神経のどのような働きによって起こっているのかが解明できれば、病気の予兆をとらえることや、診断や治療への活用の可能性もあります。医療分野からの関心も高く、医師たちとも協力しながら研究が進められています。
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