犯罪心理学の役割と可能性:安全・公正な社会の実現に向けて

犯罪心理学とは
犯罪心理学というと、犯人の心理分析を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、犯罪心理学とは、犯罪に関わる人間の行動や心理を幅広く探究する学問です。対象は犯罪者だけでなく、被害者、捜査官、裁判官、一般市民などにまで及びます。心理学の理論と手法を用いて、犯罪現象を多面的に理解し、社会的な問題の解決に貢献することを目的としています。
犯罪心理学の領域
犯罪心理学は複数の分野に分かれています。「犯罪原因論」では、性格や家庭環境、社会経済状況など、犯罪に影響する要因を探ります。「捜査心理学」はプロファイリングやポリグラフ検査などの技術を研究し、捜査に活用します。「矯正・更生の心理学」は刑務所での支援や出所後の社会復帰を支援します。他にも、被害者を支援する「被害者心理学」、犯罪に強い環境を考える「防犯心理学」、法的問題を心理学の視点で理解・改善する「法と心理学」などがあります。これらは連携しながら、社会の安全と公正の実現を目指します。犯罪心理学は犯人の心理分析にとどまらず、人間の心と行動を理解し、よりよい社会づくりに貢献する総合的な学問なのです。
犯罪心理学を通じて育むチカラ
犯罪心理学を学ぶことは、知識の習得にとどまらず、人間や社会への理解を深める貴重な機会です。犯罪の背景や加害者の心理を知ることで、予防策や更生支援、被害者支援にもつながります。警察官や法務関係者、福祉職などを目指す人にとっては実践的な知識として大いに役立つでしょう。
それだけでなく、「なぜ人は犯罪を犯すのか?」という問いに単純な答えは存在しません。複数の視点から物事を考え、偏見を排除して見つめる批判的思考力が養われる点も犯罪心理学の大きな魅力です。
心理学の知識は、教育、福祉、医療、法務、行政、企業など、幅広い分野で求められており、犯罪心理学を学ぶことで進路の選択肢も大きく広がります。一言で言えば、「犯罪心理学を学ぶことは、人と社会を深く理解し、よりよい未来をつくる力を育てること」なのです。
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先生情報 / 大学情報

関西国際大学心理学部 心理学科 准教授板山 昂 先生
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