目やカメラは、どのように「色」をとらえているのか?

人間の目が知覚できる色
人間の目はすべての電磁波のうち、波長がおよそ400~700nmの光を知覚します。これらの光(可視光)は波長の短い方から、紫、藍、青、緑、黄、橙(だいだい)、赤と、波長ごとに異なる色の光として認識されます。人間の目は、555nm近辺の緑の光をより多く知覚する仕組みを持っています。
例えば、太陽の光が樹木の葉を照らす時、青や赤の波長の光は葉に吸収される一方で、緑の波長の光は葉に反射して人間の目に届き、人間はそれを緑色と認識します。物体がどの波長の光を反射しているかを人間の目は識別しているのです。
カメラの画像素子
一方、私たちが写真や映像を撮る時に使うデジタルカメラやスマートフォンは、「光の三原色」と呼ばれる赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)を、極小のユニットセルを数千万個も配置した画像素子(センサ)でとらえて、「RGB」という色情報の形式で記録します。画像素子の設計は、人間の目の特性に合わせて緑のカラーフィルターを多めに配置する仕様が一般的です。R、G、Bはそれぞれ256段階あるため、3つを掛け合わせた1,677万7,216色の表現が可能となっています。
ホワイトバランス機能
同じ白い物体を撮影するのでも、どんな光の環境下にあるかによって、カメラの画像素子がとらえる色は、人間の目以上に大きく左右されます。光源による光の違いを表す尺度を色温度と呼び、数値が高いほど青みが強く、数値が低いほど赤みが強い光になります。朝や夕方の太陽の光、白熱電球などは色温度が低く、快晴の青空などは色温度が高いのです。こうした環境の違いによる影響をカメラで補正する仕組みをホワイトバランス機能と呼び、自動で補正する設定のほか、撮影者の意図に応じて設定することも可能です。
このような、人間の光・色の知覚や、カメラの仕組みを理解することは、写真や映像による作品制作において非常に重要です。こうした知識を使うことで、作品にさまざまな表現が反映されるのです。
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宝塚大学 東京メディア芸術学部 メディア芸術学科 メディアデザイン分野 講師 神林 優 先生
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