子どもの言葉が育つ「ことばかけ」とは?

栄養を与えるように言葉をかける
人はどうやって言葉を獲得していくのでしょうか。子どもは一般的に1歳頃から単語を覚え始め、2歳頃から簡単な文章を話し始めます。言葉の発達には、聴き取る力や記憶力、口の動かし方、視線を交わすコミュニケーションなど、いろいろな能力の発達が必要です。子ども自身も努力を重ねて言葉を獲得していきますが、重要なのが周囲からの「ことばかけ」です。言葉は、聞かなくてはたまっていきません。ネグレクト(育児放棄)を受けて育った子どもは、言葉を話せないことがあります。栄養を与えるようにことばかけをしないと育っていかないのが言葉なのです。
ことばかけの「量」と「質」
2歳の子どもと保護者を対象とした研究では、ことばかけの量と質が言葉の発達に関係するとわかりました。この年頃の子どもには「リンゴを食べたね」「ママのくつがあるよ」のように、名詞、助詞、動詞などいろいろな要素の言葉をかけることが、多様な言葉の獲得につながります。また、タイミングよく適切な言葉をかける「随伴性」も大切です。子どもの様子をよく見て、「アー」と興味や関心を示したときに「わんわんがいるね」「ごはんがおいしいね」と、子どもが見ていること、感じていることを言葉にするのがポイントです。子どもの立場に立ったことばかけは、保護者にとっても子どもと気持ちを共有する楽しい時間になるでしょう。
発達の研究から子育て支援へ
今、大人になるまで子どもと接した経験がなく、わが子にどう話しかけたらいいかわからないという人が増えています。そこで、子どもが生まれる前からの保護者にことばかけの傾向を調べ、0歳から3歳までのことばかけの変化を調べるとともに、子どもの言葉の発達も追跡する研究が行われています。成長発達の段階に応じた「子どもを伸ばすことばかけ」の方法が明らかになれば、子育て支援などを通して適切なアドバイスができるようになり、安心した子育てにつながっていくと期待されます。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
