医師の「目」となり手術をアシスト! 広がる臨床工学技士の役割

手術室やICUに欠かせない臨床工学技士
医療の現場では、さまざまな技師・技士が活躍しています。検査の専門家である臨床検査技師や放射線医療を行う診療放射線技師、そして医療機器のスペシャリストである「臨床工学技士」です。
人工呼吸器などの生命維持管理装置を扱う臨床工学技士は、手術室やICU(集中治療室)に欠かせない存在です。例えば大きな心臓手術では、臨床工学技士が心臓と肺の働きを代行する人工心肺装置を操作して、患者の命を守っています。
内視鏡手術のカメラを操作
2021年から、手術室の臨床工学技士は医師の代わりに2つの業務ができるようになりました。
1つは内視鏡カメラの操作です。内視鏡手術は小型カメラを体内に入れて、体内の映像をモニターで見ながら行います。そこで、機器の専門家である臨床工学技士が医師の「目」となりカメラを操作して、見たいところをタイムリーに映し出し、手術がスムーズに進むようにしています。
もう1つの役割は麻酔のアシスタントです。麻酔の効きやすさには個人差があり、手術中に患者の呼吸や血圧、意識などに変化がないかモニタリングすることが重要です。ここでも臨床工学技士は麻酔科医の「目」となって患者を見守り、麻酔薬の量の調整などを行います。
手術時間の短縮、患者の負担軽減
医師の仕事である内視鏡カメラの操作や麻酔の管理を臨床工学技士が補助することで、医師はより集中して安心・安全な手術ができ、手術時間が短くなって患者の負担も減るといった効果が期待できます。2つの業務を臨床工学技士が行う体制は少しずつ広がっており、中には最先端のロボット手術を臨床工学技士がアシストしている病院もあります。
このような体制をさらに広めるには、高いスキルをもつ人材の育成が必要です。医師・看護師以外が実際の手術に携わるのはこれまでにない新しいことなので、手術時間の変化など、その効果を研究によって明らかにすることも求められています。
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