音楽を多角的に検証して見える、人や社会、グローバルな文化のあり方

メディアに影響される音楽
日頃よく耳にするポピュラーミュージック、その楽曲の多くは数分の長さに収まっています。また、複数の楽曲をまとめたものを「アルバム」と呼んでいます。なぜでしょうか?
音楽は、その時々のメディアと密接に関わっています。日本では明治から昭和の中頃にかけて流通していたレコードをSPレコードと呼びます。その収録時間が数分だったことから、それに合わせた曲の作り方が確立していきました。また、レコード以前から存在するクラシック音楽は数十分になる曲も多くありますので、SPレコードでは何枚にも分割されます。それらは冊子状の容れ物に入れて売られました。それが写真アルバムに似ていることからアルバムと呼ばれるようになったのです。
楽譜というメディアによるつながりと没入
音楽は人と人のつながりを作ります。たった一人で音楽の世界にのめり込むこともできます。楽譜はそうした活動を支える重要なメディアの一つです。楽譜は、スタジオミュージシャンから、アマチュアバンド、一人で楽器を楽しむ人まで、いろいろなミュージシャンが演奏に参加するためのドアとして機能しています。しかも楽譜の書き方は地域やジャンルによってもさまざまで、楽譜がない音楽もあります。楽譜のあり方を知ることは、人々の多様な音楽との付き合い方を理解するうえでも大切です。
音楽から世界も見えてくる
音楽は国境を越えると言われます。しかし単純に越えるだけではありません。日本で明治時代に流行した「鉄道唱歌」は、モンゴルでは女性解放運動の歌となり、また社交ダンスの曲にもなりました。一つの音楽が人々のあいだで別の意味を持つことがあるのです。
さらに楽器に着目すると、どんな楽器が手に入るのかが、作られる音楽を左右します。世界各地の音楽のあり方の多様さと共通性も、使われている楽器と深い結びつきがあります。
音楽は人、楽器、技術、企業などの影響を受けて作られます。音楽を多角的に検証することで、新しい観点から社会や文化の仕組みを明らかにできるのです。
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神田外語大学 外国語学部 国際コミュニケーション学科 講師 岡田 正樹 先生
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