人間中心の学際情報学 人間のよきパートナーになれるAIを

人間のよきパートナー
近年、AIなど情報技術が目覚ましい発展を遂げていますが、実際の生活やビジネスの現場で起こる問題に対して、一つの正解を導けるわけではありません。幅広い分野にまたがる知識や視点が必要で、かつ、価値観や倫理観、感情などあいまいな要素も考慮が必要です。
そのような場面で役立つのは、すぐにそれらしい最適解を出すのではなく、一歩ずつ進みながら方向性を見つけていけるような、人間のよきパートナーとなるAIです。常にそばにいるAIはどうあるべきかの研究が行われています。
漫画で学ぶ
多様な視点やあいまいさを扱うときに重要なのが、「ナラティブアプローチ」です。情報を取り出すところの訓練もとても重要です。「状況から、情報を抽出する」こと、これは人それぞれの物事の解釈の仕方に従った事実、つまり「物語(ナラティブ)」として人は取り出します。
その取り出し方が、恣意的ではなく、整合的になるように訓練する方法として漫画を使います。用いるのは、漫画特有の記号や表現などを使わない、現実的な表現で描かれる漫画です。それにより読んだ人によって違う解釈が生まれ、それを持ち寄ることで自分の思い込みに気づけるなど、「情報」に対するとらえ方を深めることができます。
人らしいチャットボット
あいまいさや多様性をAIに取り込む研究成果の一つとして、医師の診察をサポートする医療用チャットボットがあります。
患者は病院では緊張しがちで、正確に情報を伝えられないこともあります。また、患者自身がよく知らない情報もあります。時には雑談もするチャットボットで、医学、心理学などの知識を組み合わせて患者が緊張しないようにして、専門的な話もします。リラックスした雑談の中から、「この人は薬を飲み忘れがち」「〇〇病の親族がいる」など、診断に必要な情報を引き出すのです。
このように、情報に関してさまざまな分野の専門家が協力する研究を「学際情報学」と言います。多様な視点で研究を行うことで、新しい価値を生み出すことができます。
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先生情報 / 大学情報

関東学院大学 情報学部 ※2026年4月開設予定(設置届出中) 情報学科 教授 吉川 厚 先生
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