木材は1000年もつってほんと? 木材と時間の科学

木材は長寿命
日本はもちろん、世界各地に木材を使った歴史的な建造物が数多く残っています。例えば7世紀に建てられた法隆寺は、現存する世界最古の木造建築です。こうした事例から、木材は適切にメンテナンスをすれば長く使える材料だといえます。
では何百年も材料として使われた木材は、新しい木材と同じ性能を持っているのでしょうか? 古い木材を使ったこれまでの研究で、ヒノキは1000年以上経っても強度が変わらないこと、ケヤキは時間の経過とともに強度が落ちていくことなどがわかっています。
木材はすぐ劣化する
一方で、太陽光、風雨、害虫や腐朽菌により、木材が急速に劣化することも事実です。住宅やエクステリアへの木材利用において、木材を劣化から守るため、多くの研究と技術開発がおこなわれてきました。この場合、多くても数十年程度の使用時間が想定されてきました。
では、何百年も経った歴史的木造建築ではどうなるのか? 害虫や腐朽菌はあっという間に木材をボロボロにするので、修復作業の際に取り替えられます。しかし、太陽光を何百年も浴び続けるとどうなるのか、実は、この時間単位での現象はよくわかっていません。屋外で使用されていた古い木材を、表面から少しずつ内側に向かって調査をすることでわかりますが、研究は始まったばかりです。
未来の材料と時間
古い木材を使った研究の成果は、古い建築の修復に役立つと期待されます。特に、歴史的価値の高い建物では、現在使われている材料を最大限残して修復することが求められます。「建築から500年経っているから○○%強度が落ちているはず」「今後500年の間にこの程度しか劣化しない」など、科学に根ざした寿命予測が可能になれば、修復現場の手助けになるでしょう。
また、木材の「長時間経っても性能が変わらない」という特徴は、新たな材料の発想につながる可能性があります。あらゆる分野で持続可能な社会をめざす現在、これまでの工業材料にない時間スパンで材料を長く大切に使うことはできるのか、発想の転換への挑戦です。
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