工場を進化させる次世代の産業用ネットワーク

工場のネットワークを外部から制御
工場内のベルトコンベアやロボットはお互いに協調して動けるように、工場内のネットワークの頭脳にあたる専用コントローラによって、正確な通信で精密に制御されています。こうした工場内の産業用ネットワークを、専用コントローラ(ハードウエア)ではなく外部のデータセンタからコントロールアプリ(ソフトウエア)で制御しようという研究が行われています。専用コントローラよりも安価なためコスト削減になるほか、複数の工場を柔軟に管理できることやAIと相性が良いこと、仮想空間でのシミュレーションが可能になることなど、メリットが多いためです。
通信規格の統一
産業用ネットワークには互換性のない通信規格(プロトコル)が乱立しており、例えばEtherCATという通信規格ならEtherCAT用のソフトウエアしか使えないのが現状です。外部からこれらのプロトコルを統一して制御できれば、柔軟なネットワーク構築が可能になります。そこでサーバにそれぞれのプロトコル用ドライバ(プログラム)を実装し、規格を変換して別規格のソフトウエアにつなげる方法が検証されています。
問題はタイムラグ
精密な制御が必要な産業用ネットワークの通信は、一般的な通信に比べてミリ秒以下での高い正確性が要求され、わずかなタイミングのずれでシステム全体が異常停止してしまいます。そのためこれまでハードウエアによる専用コントローラが使われてきました。その代わりに外部のソフトウエアで制御すると、データセンタのコンピュータ(ハードウエア)とソフトウエアをつなぐOSの部分でどうしても処理速度に遅れが出てしまいます。対策として、通信データの送受信に限りOSを介さずに高速化する方法や、書き換え可能な集積回路「FPGA」を使ってハードウエアの回路を作り直し、ハードウエア自体で時間調整を行う方法が挙げられます。いずれも成果が出ており、実装に向けてさらなる研究が進められています。
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公立千歳科学技術大学 理工学部 電子光工学科 教授 山田 崇史 先生
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