生き物のように動く「ソフトロボット」

生き物のように動く「ソフトロボット」

生活空間でロボットが活躍するために

ロボットというと、金属でできた硬い機械を思い浮かべる人は多いでしょう。しかし、近年では「布」や「ゴム」などの柔らかい素材を使った「ソフトロボット」の研究が進んでいます。工場で使われるロボットは高い精度で作業できますが、硬いため人とぶつかると危険です。そこで注目されているのが、生き物のようにしなやかに動くロボットです。転倒しても壊れにくく、人と接触しても安全に動作できるため、医療や介護、家庭など私たちの生活空間で活躍するロボットとして期待されています。

生き物の知恵を応用した「自律分散制御」

ソフトロボットのもう一つの特徴は、「自律分散制御」という仕組みです。これは、全体を一つのコンピュータで集中制御するのではなく、各部分が自ら判断して動く仕組みです。例えば、人が熱いやかんに触れたとき、脳で考える前に反射的に手を離すように、ロボットの各部が独立して反応します。アリや魚の群れも同じ原理で、個体同士が情報を共有しながら協調して行動します。この方法は、一部が壊れても全体が機能し続ける「ロバスト性」や、個数が増減しても破綻しない「スケーラビリティ」に優れており、大規模で複雑なシステムに適しています。

プリンタで生まれる次世代ロボット

近年の技術革新により、柔らかいロボットを作るハードルも下がっています。3Dプリンタを使って柔らかい素材のパーツを作り、さらに銀ナノインクを用いたプリンタで回路やセンサまで作ることが可能になりました。これにより、複雑な構造を持つロボットを低コストで製作できます。例えば、たわむ素材を使って、力を加えるとしなり、力を抜くと弾性で跳ねるような動作も再現できます。今後はAIによる物理シミュレーションを活用して、より自然で多様な動きをするロボットの開発が進む見込みです。柔らかく、賢く、環境に適応できる新しいロボットの時代が、もうすぐそこまで来ています。

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信州大学 繊維学部 機械・ロボット学科 准教授 梅舘 拓也 先生

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メッセージ

勉強でもスポーツでも、楽をしているだけでは力がつきません。脳も筋肉も少し無理をして使うことで初めて成長します。例えば、英語を話せる人と話せない人とでは、頭の中の神経回路に違いがみられます。新しいことをできるようにするには、頭の中に新しい回路を作る必要があるのです。そのきっかけになることの一つが「悔しさ」です。できなかったことを悔しいと感じると、脳は新しい回路を作ろうとします。失敗を恐れず、悔しい思いを重ねることが、自分の頭と体とを本当に鍛えることにつながります。

先生への質問

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