走るスーパー・動く居場所 乗り物が変える地域の未来

高齢者も交通事業者も困っている
高齢化が進む地域では、買い物や移動に困る人が増えています。駅の近くに住んでいても、スーパーが郊外の幹線道路沿いに移転してしまい、車を運転できない高齢者は買い物に行けなくなっているのです。一方で、利用者が減ったバスや電車は経営難に陥り、路線の維持が難しくなっています。この「住民の困りごと」と「交通事業者の経営難」という二つの問題を同時に解決するために、使われなくなった乗り物を地域のために活用する試みが行われています。
「走るスーパー」と「動く居場所」
静岡県では、電車の車両に日用品を積み込み、駅に停車させて販売する「走るスーパー」の実験が行われました。無人駅に住民が殺到し、駅が満員になるほどの盛況ぶりです。地元の高校生も参加しておにぎりを販売したり、駅でカフェを開いたりと、地域を巻き込んだ活動に発展しました。また、バスの営業所の空きスペースで合唱教室や編み物教室を開催したり、河原にバスを置いてテレワークスペースとして活用したりする実験も行われています。乗り物を地域のコミュニティスペースとしても活用することで、新しい交流が生まれ、運行会社にとっても収益につながる可能性が見えてきました。
めざす社会像から逆算する
地域の人々と対話しながら新しいサービスを共創する「ソフトの研究」と並行して、段差が全くないノンステップ電動バスといった、乗り物そのものを開発する「ハードの研究」も進められています。
いずれも大切なのは、めざす社会像から逆算して研究を組み立て、地域の実情に合わせて試行錯誤を重ね、本当に役立つ成果を生み出すことです。移動の分野では、高齢者や障害のある人も気軽に外出できる社会を実現するために、最初から誰もが使いやすいものにする「ユニバーサルデザイン」の考え方が欠かせません。さらに、そのハードを支える財政や法制度まで視野に入れた文理融合のアプローチによって、本当の意味で持続可能な地域づくりが可能になるのです。
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