海の上で電気を作る! 洋上風力発電の可能性と課題

海の上で電気を作る! 洋上風力発電の可能性と課題

需要が高まる洋上風力発電

再生可能エネルギーの一つとして、風力発電の需要が高まっています。日本でも山の上などに風力発電施設が作られてきましたが、材料・部品の運搬の難しさや騒音問題など、さまざまな課題がみられます。そこで注目されたのが、海底の地盤に設置する洋上風力発電です。陸上よりも大型の風車を設置できるためエネルギー効率がよく、周囲に人がいないため騒音問題が起こりにくいなどの長所があります。

日本ならではの風車を作る

洋上風力発電はヨーロッパに多く、日本はその技術を参考に建設しています。設計の際に新たに考えなければならないのが、ヨーロッパではあまり問題にならない地震の影響です。大きな地震に耐えられる丈夫な風車を設計した結果、「必要以上に」頑丈になる点が問題になっています。例えば20年ほどの運用期間に対して100年つぶれないような強い風車を作るのは経済的ではありません。風力発電施設は電力を売って建設費を回収するため、このままでは電気代が高くなってしまいます。そこで、風や波の影響に加えて、地震が起こった際の風車の設計を見直す研究が始まっています。

波、風、地震を一斉に与えると?

現在の設計ではいろいろな波、風、地震が風車に襲いかかると仮定されています。波と風を与える場合と地震を与える場合を別々に想定することも多いです。本当にその仮定が正しいかを確認するために、海底地盤を模した場所に風車の模型を設置し、波、風、地震を一斉に与える実験が行われています。すると風によって風車が少し傾くと、風車が地盤から受ける力が変化するために波や地震の影響が変化するなど、仮定とは異なる結果が出ました。また、波や地震によって風車が変形した場合は、風から受ける影響が変化する可能性もあります。風、波、地震はお互いの力が影響し合い、単純に足し合わせた力が風車にかかるわけではないことがわかったのです。さらに実験や解析を重ね、建設コストを下げつつ必要な耐久性を確保した洋上風力発電施設を提案しようと試みられています。

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東京海洋大学 海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 教授 高橋 英紀 先生

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メッセージ

苦手意識を持たずに数学や物理を勉強してほしいです。高校で習う基礎は大学の学びや研究でもたくさん使います。面白くなく感じる内容でも、将来の研究に役立つはずです。しかし、ただ数式を解くだけではつまらないと感じるかもしれません。そんなときは日常生活と結びつけて考えてみましょう。例えば目の前で物体が揺れていたら、そこにどのような仕組みが隠れているかを物理や数学を使って考えてみる、などです。知識と実物を重ねて考えてみると、どんな分野でも面白さを感じられると思います。

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東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。