それ、誰でも使える? テクノロジーをみんなが利用できる社会へ

「アクセシビリティ機能」とは
アメリカ製のスマートフォンは、音声でポインターを操作したり、まばたきに反応する入力装置を接続できたりするなど、心身機能に制約のある人の操作を補助する「アクセシビリティ機能」が標準装備されています。欧米では「誰もが困らない環境をつくる」という意識が高く、製品へのアクセシビリティ機能実装を義務化するなど、その考え方が国のルールにも反映されています。一方、日本では困る人が出てから問題の所在に気づき、対応するという傾向があり、アクセシビリティ機能への対応も義務化されていません。
意識されていない「小さな工夫」
日本でも、1970年代から「この製品は誰かにとって不便かもしれない」という気づきを持ち寄り、議論する活動が行われていました。例えば、リモコンの重要なボタンに小さな突起を付けるといった、障害の有無や年齢にかかわらず誰もが使いやすい「小さな工夫」が生まれています。しかし、こうした取り組みは一般には知られておらず、いまだに社会全体に意識が広がっているとはいえません。
そのため、このような活動や制度の歴史的変遷をたどる調査を行ったり、同時に、広い視野で使いやすさを考えている人々への聞き取りを行ったりするなど、テクノロジーについて設計のあり方から考えるための研究が進められています。
困った人を助ける、その前に
あらゆる製品には、設計者が思い描く社会やユーザーのイメージが反映されています。その想定によっては、例えば障害者や高齢者が使えない製品が生まれ、社会的排除が進んでしまう悪循環を招くこともあります。そうした事態を防ぐためには、日常的に使われるテクノロジーについて、さまざまな立場の人が話し合える場や、それを支える社会の仕組みを考える必要があります。
現在の社会福祉は、「困った人を助ける仕組み」として専門職による支援を中心に展開されています。しかし、その一歩手前の段階として、「そもそも誰も困らない社会」とは何かを、身近なところから問い直すことが求められているのです。
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