子どもの命・育ち・出自を保障するための法制度を

特別養子制度
虐待により子どもの命が失われる痛ましい事件が後を絶ちません。起きてしまった虐待から子どもを救う方法の一つに、民法に定められている特別養子制度があります。これは、子どもと実親との法律上のつながりを断ち切り、育ての親の家族として迎えることで、安定した養育環境を保障する制度です。しかしこれまでは、養子となる子の年齢制限や実親から同意を得る手続きの負担などが障壁となり、利用は低迷していました。
今後の課題
2019年の法改正を経て以前より利用しやすい制度になったものの、育ての親に子どもが託されるまでの手続きや支援には、なお改善の余地があります。また、特別養子制度は、予期せぬ妊娠・出産で子どもを育てていくことが難しい場合にも利用されるため、縁組後のアフターケアとして、ルーツを知る権利への対応も欠かせません。例えば、養子であることをいつどのように伝えるのか、実親に会いたいと望んだときにどう支援するのかなど、子どもの立場に寄り添った細やかなサポートが求められています。
子どもの最善の利益を支える仕組み
子どもは本来、家庭で安心して育つことが望ましく、児童虐待の未然防止は最も重要な課題です。一方で、実親から十分な養育を受けられない子どもについては、社会が責任をもって保護し、実の家庭に代わる養育環境を整えることで、その福祉を確保する必要があります。このことは、日本が1994年に批准した子どもの権利条約にも明確に示されています。
子どもの権利条約はさらに、子どもにとって何が最も重要かを第一に考える「子どもの最善の利益」という理念を掲げています。これは、子どもに関わるあらゆる制度の中心となる考え方です。
特別養子制度は、血のつながりを超えた親子のあり方を支える重要な制度です。しかし、本当に「子どものための養子制度」とするためには、子どもの命や成育、そしてルーツの保障という観点から、制度のさらなる充実を目指して、今後も検討を重ねていく必要があります。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
