AIはどうやって「賢く」なるのか―学習の効率化をめざして

少ない正解で学ぶ工夫
AIの多くは「教師あり学習」と呼ばれる方法で学びます。これは、個々のデータに人間が正解を与え、そのパターンを見つけさせる仕組みです。例えば犬と猫の画像を見分ける場合、それぞれに正しいラベルを付けて学習させます。高い精度をめざすほど、何万、何十万という正解付きデータが必要になります。それが医療診断や専門的な分析となると、そのラベル付け自体に専門家の知識や特別な装置が必要となり、大きなコストがかかります。
そこで研究が進められているのが「半教師あり学習」です。少数の正解データをもとに、まだ正解がないデータをAIが推測して、自信の高いものを仮の正解として取り込みながら学習を進めます。最初の数問だけ解説がある問題集で、残りを自力で解いていくような方法です。
AIが「質問」して学習
さらに効率を高める方法として「能動学習」があります。これは、「教師あり学習」において、どのデータに正解を与えると最も効果的かをAI自身が判断する仕組みです。例えば、判断に迷っているデータを優先的に人間に尋ねたり、複数のAIの意見が分かれた事例を選んだりします。正解データ数を増やすのではなく、「学習が大きく進みそうなデータ」を選ぶ点が特徴です。実際に、ランダムに正解を与える場合と比べて、少ない正解数でも効率よく性能が向上することが示されています。
「あなた好み」をめざして
こうした研究の先には、個別のユーザーに寄り添うAIの実現があります。例えば今のAIアシスタントは、相手のバックグラウンドや前提知識を知らずに同じ説明をしてしまうことがあります。「予測」と「推論」という言葉にしても、統計学と機械学習では意味が異なります。ユーザーの専門背景や行動パターンをAIが効率よく学習できれば、的確に答えてくれる「気の利いたAI」が生まれるでしょう。正解データを賢く集めて、少ない情報でも深く学ぶ技術は、AIをより身近で便利な存在へと進化させる、重要な鍵を握っています。
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