「電気」で挑む 動けない時期の筋肉減少への取り組み

脊髄損傷と早期リハビリテーションの重要性
脊髄は、脳からの命令を体に伝える神経の通り道です。脳が「歩こう」と出した命令は、神経を通って筋肉へと届きます。そのため、脊髄が傷つくと命令がうまく伝わらず、手足が動かしにくくなったり感覚が鈍くなったりします。これまでは交通事故などで脊髄が大きく損傷する重いけがが多くみられました。しかし、高齢化が進む日本では、高齢者が転倒して脊髄の一部が損傷するケースが増えています。神経が傷ついて働きが弱まると筋肉を十分に動かせず、体力や呼吸機能の低下など二次的な障害が起こりやすくなります。こうした悪循環を防ぎ、特に生活に必要な歩く力を守るために、早い段階からの理学療法が重要です。
電気刺激で筋肉を守る
しかし高齢者の場合、心臓や呼吸器などに持病があり、十分な歩行練習が難しい人もいます。そこで注目されているのが、筋肉に電気刺激を与える理学療法です。筋肉は、脳から送られる電気信号によって収縮して動いており、外部から電気を流しても同様の筋肉の収縮がみられます。つまり、自ら体を動かさなくても、電気刺激によって筋肉を繰り返し収縮させることで筋肉を鍛えることができるのです。理学療法では、痛みを感じない程度の刺激を筋肉に与えます。例えば、太ももの筋肉は歩くときに体を支える重要な役割があり、この筋肉を保つことで歩く力が維持できます。
生活の中でのリハビリテーションを
近年は、けがの治療を行う急性期病院での入院期間が短くなっています。できるだけ早く自宅での生活に戻ることを目指す医療へと変わってきたためです。そのため、理学療法士が関わる時間が限られてしまい、入院中のリハビリテーションだけで歩行の改善まで達成することは困難です。今後は、病院だけでなく、家庭でも安全に使える機器の開発や、日常生活をリハビリテーションにつなげる仕組みづくりが求められています。こうした取り組みと合わせて、脊髄に損傷を負っても、理学療法によって歩く力の回復の可能性を高めるための研究が行われています。
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