古くて新しい発酵

古くて新しい発酵

まだまだ分かっていない漬物の発酵

日本には、しょうゆやみそ、酒など、何百年も前から作られている伝統的な発酵食品がたくさんあります。ただし、乳酸菌による発酵食品である漬物については、日本各地に個性的なものがさまざまあり、その多くはまだ科学的に解明されていないのが実情です。発酵を担う乳酸菌は漬物の風味に加えて健康機能にも関わるため、どんな種類のどんな能力を持った乳酸菌であるかは漬物発酵の大切な要素です。遺伝子や発酵物を解析するバイオテクノロジーによって乳酸菌の発酵能力を解明できれば、漬物の新しい魅力の発見や微生物の新しい活用などに役立てることができます。

農家や地域産業を守る

地域には、文化や特産物と紐付いた発酵産品が根付いています。しかし、若い人たちは、その地域の人たちであっても、伝統的な産品への興味や理解が少なくなってきています。
京都の上賀茂地域で作られる「すぐき漬け」は、カブの一種である「すぐき」と塩だけで漬け込み、乳酸発酵で作られる漬物です。すぐき農家が栽培から漬物製造、販売まで行い、6次産業化されているのですが、そうした農家は年々減る一方です。発酵の仕組みを科学的に解明すると、これまで知られていなかった風味成分や新たな健康機能が発見されたりして、人々の関心が高まります。こうして漬物の付加価値を高めて、地域産業の活性化にもつなげられます。

蜂蜜の発酵が作るバラの香り成分

面白い発酵の例に、ニホンミツバチの蜂蜜があります。日本で流通する蜂蜜の99%はセイヨウミツバチのものですが、糖度が高いためほぼ発酵しません。ニホンミツバチの蜂蜜はやや糖度が低く、発酵が起きやすいことで知られています。この発酵現象を調べていくと、特別な酵母が発酵に関わっていて、バラの花の香りと同じ成分を生産していることがわかりました。ニホンミツバチの蜂蜜が持つ独特の風味は、発酵によるものだったのです。この発酵を適切に制御できれば、花の香りの華やかな蜂蜜を作ったりと、新たな商品開発の可能性の広がりが期待できます。

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京都先端科学大学 バイオ環境学部 応用生命科学科 准教授 井口 博之 先生

京都先端科学大学 バイオ環境学部 応用生命科学科 准教授 井口 博之 先生

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応用微生物学、環境微生物学

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メッセージ

高校生の今、勉強や部活、趣味など何でもいいので、何か一つとことん頑張ってください。頑張った経験があると自信がついて、大学生活や仕事などでの大事な場面やいざというときに踏ん張ることができ、より高みを目指せます。また、大学では思いがけなく新しい学びに出会います。視野を広くして柔軟に受け入れる姿勢を持ちましょう。「やりたいことしかやらない」と、視野が限られてしまいもったいないです。異なる分野も受け入れていけば、予想外の面白い世界が広がりますよ。

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本学は世界で活躍する「人財」を育てる5学部10学科の総合大学です。経済経営学部、人文学部、バイオ環境学部、健康医療学部、工学部、それぞれの学部でグローバル化する現代社会を生き抜く「未来を生み出すチカラ」を身につける教育を展開。専門性に加えて、多くの留学生が学ぶ「国際性が日常のキャンパス」で実践的な英語力を磨くとともに、多様性に適応するコミュニケーション能力、デジタル化に対処できるデジタルリテラシーを高めて、激動する社会に向かって自らを築き、世界レベルで活躍できる人材の輩出を目指しています。