画像修復で宇宙から地球を見る! リモートセンシングへの応用

画像修復を他分野に応用
近年のスマートフォンでは、不要なものが映り込んでいる写真の修正が可能です。こうした画像修復技術は2000年頃から発展してきました。微分方程式や行列といった数学の手法を用いたものから、ディープラーニングを用いるものまで手法は多岐にわたります。
このように発展してきた画像修復技術の応用事例の一つが、リモートセンシングです。人工衛星を使うと、海の表面に存在する「クロロフィルa」という植物プランクトンの量を推定できます。植物プランクトンが多い場所は生態系が豊かで、いい漁場になります。正確な分布図を頻繁に提示できれば漁船を出す場所を選びやすくなり、漁業にも貢献できるでしょう。
リモートセンシングの課題
しかし人工衛星と海の間に雲がかかると、その部分のデータは計測できません。すると一部の領域が欠けた分布図になってしまいます。欠損部分を推定する際に役立つのが、画像修復技術です。雲の下にあったであろう植物プランクトンの量を推定するにはどの手法が適しているのか、検証が始まりました。
分布図を正しく修復するには?
有効だとわかってきた手法は、1枚の画像内で欠損領域を修復する方法と、複数枚の画像を用いて分布が急激に変化する箇所を推定する方法の2種類です。前者では隣り合うピクセルとの数値差分を最小化する「最適化問題」という数式を解いて推定します。計算をくり返すうちに欠損領域全体を推定できます。ただしこの手法では、分布量がグラデーションのようになだらかに変化する領域は推定できるものの、急激に変化する箇所は再現できません。
そこで雲がかかっていないときに同じ箇所を撮影した複数枚の画像を用いての修復が試されました。欠損のある画像を撮影したときよりも前に撮られた画像と、後に撮られた未来の画像と比較して最適化問題を解き、データを修復していくのです。その結果、急激に分布量が変化する領域も修復できました。修復精度をさらに上げようと、研究が続いています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

東海大学 情報理工学部 情報科学科 准教授 高橋 智博 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
知覚情報処理、通信工学先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?