1300年前のグローバル社会! 唐の歴史が教えてくれること

国際色豊かな大国
唐の歴史は長らく中国史の一時代として研究されてきましたが、近年はユーラシア規模の視野から捉え直す潮流が生まれており、その実像は今も更新され続けています。約300年にわたる繁栄を誇った世界最大級の帝国だった唐を改めて見直すと、その背景にはほかの時代とは一線を画す開放性がありました。
日本から遣唐使として留学生が渡ったことは知られています。唐の交流・交易は、東は日本・朝鮮半島から、西はシルクロードを通じて中央アジア・西アジア、さらには東ローマ帝国にまで及んでいました。中には、民族や出自を問わず活躍した人もいます。例えば詩人の李白は、中央アジアのトハリスタンまたはソグド系出身の可能性が指摘されています。漢民族ではない人物が時代を代表する詩人として受け入れられたことに、この時代の懐の深さが表れています。
世界と時代をつなぐ交差点
地理的な広がりから見た国際性、空間軸で見た唐代を、さらに時間軸でも見てみましょう。唐王朝は、それ以前の王朝が築いた古典的な文化を引き継ぎ、そして外から入ってきた多様な文化を受け入れて完成期を迎えました。この唐という成熟した時代に生まれたものは、後の時代まで長く受け継がれています。例えば、租庸調制に代わり始まった両税法という税制は、明代まで続きました。縦軸と横軸それぞれをつなぐ交差点として唐代を捉えると、その存在の大きさが改めて見えてくるのです。
歴史を学ぶことは、現代を学ぶこと
唐の開放性は繁栄の源になりましたが、その姿勢が一転して排除に向かうと、唐王朝は弱体化していきました。開放性と繁栄・衰退の関係は、現代の国際社会を考える上でも示唆に富んでいます。さまざまな国が並び立ち、文化の往来が盛んだった唐の時代は、今の多極化する世界と重なる部分があります。
歴史を学ぶことは、現代に翻って世界を読み解く力を養うことでもあります。唐代という窓を通じて眺めたとき、この世界の見え方は変わるはずです。
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札幌大学 地域共創学群 文化学系 教授 髙瀬 奈津子 先生
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