世界の「つながり」と「分断」を読み解く経済史

世界の「つながり」と「分断」を読み解く経済史

現代の経済とサプライチェーン

スマートフォンや自動車、食品など多くの製品は、世界中の国々が関わる「サプライチェーン」によって作られています。原料の採掘、部品あるいは完成品の製造、物流、そして販売と消費というように、製品は複数の国・地域を経て消費者のもとに届きます。このような国際的な分業体制は、グローバル化の進展とともに発達してきました。しかし、この仕組みは意外にもろい面もあります。

グローバル化が進むと

グローバル化が進むと、国家間で競争が激しくなります。その結果、自国の産業を守ろうとする動き、いわゆる保護主義が強まることがあります。歴史的に見ると、世界恐慌の後に各国が輸入品に高い関税をかけ、自国産業を守ろうとしました。こうした「関税戦争」は国際経済を分断し、世界情勢の緊張を高める要因にもなりました。現代でも、国際競争が激化する中で似たような動きが見られます。関税が引き上げられるとサプライチェーンは分断され、原材料や製品の供給が滞ります。さまざまなモノの供給が滞ると、物価上昇への圧力がかかります。
こうしたときに金融市場や通貨の安定を保つ役割を担うのが、各国の中央銀行です。中央銀行は、金利操作などさまざまな手段を通じて景気や物価の安定を図ります。しかし、サプライチェーンの分断によって起こるインフレは、金融政策だけで抑えることは難しい場合があります。そこで政府や企業が、資源や原材料の確保、国内生産の強化など、供給そのものを回復させる政策を取ることもあります。現在、中東情勢の悪化に伴って、さまざまなサプライチェーンの再構築が試みられています。

歴史研究の意義

経済の歴史を振り返ると、グローバル化と保護主義が交互に現れる大きな流れが見えてきます。過去の出来事を単に振り返るのではなく、現在の世界と結びつけて考えることに、経済史研究の意義があります。現在を理解し、将来に展望を持つために、過去の出来事を説き起こしていくことは、経済史の一つの重要なアプローチと言えます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

札幌大学 地域共創学群 経済学系 准教授 武田 佑太 先生

札幌大学 地域共創学群 経済学系 准教授 武田 佑太 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

歴史学、経済史学、経営史学

メッセージ

歴史は暗記科目だと思われがちですが、大切なのは「想像力」を働かせることであり、それは、経済の歴史を勉強する場合でも同様です。過去と現在を比べたり、ニュースを見ながら「なぜこうなったのだろう」と考えたりしてみましょう。歴史は、人間の営みの積み重ねなので、現在の出来事とも深くつながっています。また、情報は一つの媒体だけでなく、いろいろな情報源を見比べてみることも大切です。異なる視点に触れることで、世界の見え方がぐっと広がります。好奇心を持って社会を観察することが、学びを面白くしてくれます。

札幌大学に関心を持ったあなたは

札幌大学では、学群制を導入し8つの専攻(専門分野)を有しています。当制度では、各専攻の専門知識を深めることはもちろん、自分の専攻以外の専門分野も幅広く学ぶことができます。更に、専攻を入学後(2年次)に選べる・変えられるレイターマッチング制度があるので、学修を進めるうえで興味・関心や新しい発見に対応できる教育システムです。
クラブ・サークルや、ボランティア活動等正課外活動も活発で、4年間の大学生活をとおして社会に出会い、大人と話すことにより、社会で必要とされる本当の力を身に付けられます。