マリンスノーと地球温暖化の関係とは? 海の植物プランクトン研究

マリンスノーと地球温暖化の関係とは? 海の植物プランクトン研究

マリンスノーの正体は?

「マリンスノー」とは、光が当たると雪のようにキラキラと輝く、海の中を漂う粒子です。このマリンスノーのもとになる物質の一つが、植物プランクトンが排出した糖類です。糖類は、植物プランクトンが光合成によって生み出した、炭素などを含む有機物です。粘着性のある糖類は海中で互いにくっついてゲル状の物質になります。さらにほかの生物の排せつ物などを付着させながら、深海へと沈んでいくのです。このようにマリンスノーは、海の表面から深海への有機物の輸送を担っているのです。

有機物量の変化を調査

マリンスノーに含まれる有機物の正確な量はまだわかっておらず、釧路沖の太平洋、日本海に船を出して調査が行われました。まず、表面から深層の海水を採取してマリンスノーや植物プランクトンの量などを分析します。さらにマリンスノーの有機炭素含有量の変化を見るために、色々な水深で取れた海水を培養してゲル状粒子を作成します。
調査を進めるうちに、海の表面には光合成をするために植物プランクトンがたくさん集まっており、ゲル状物質内の有機炭素量もかなり多いことがわかりました。一方水深3,000m付近では、マリンスノーに含まれる有機炭素量が大きく減っていました。マリンスノーが水深3,000mまで到達するには、1年ほどかかります。その間に海水中のバクテリアが有機物を分解するため、炭素を含まないマリンスノーが増えていくのです。

地球温暖化を考えるために

植物プランクトンは大気中の二酸化炭素の約半分を吸収しており、光合成で作り出した炭素の一部はマリンスノーとして深海へ輸送されます。この現象は大気中の二酸化炭素濃度の変化を把握するために重要な機構ですが、現在でも全容は明らかになっていません。二酸化炭素による地球温暖化のメカニズムの一端を明らかにする上でも、さまざまな海や水深で調査を進め、植物プランクトンとマリンスノーの詳細を明らかにしていく必要があります。

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東海大学 生物学部 海洋生物科学科 講師 野坂 裕一 先生

東海大学 生物学部 海洋生物科学科 講師 野坂 裕一 先生

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生物海洋学、浮遊生物学

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メッセージ

やりたいことを早めに見つけるといいでしょう。もし見つからないときは、身近な疑問から考えてみるのも一つの方法です。私の場合、「最近は漁獲量が減ってきた」と聞いて疑問に感じたのが研究のきっかけです。勉強してみると、植物プランクトンの量が多い海域は漁獲量が多いことがわかりました。疑問は少し解消できたものの、植物プランクトンにはまだ研究の余地があると思い、さらに深めることにしたのです。やりたいことは途中で変わっても構いません。まずは大学で挑戦し、突き詰めてみましょう。

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