植物の病気は虫が運ぶ!? 見えない病原体を体内でとらえる

病気による甚大な農作物の損失
私たち人間と同じように、植物も病気にかかります。病気による農作物への被害は甚大で、世界では本来収穫できるはずの作物の約15%が失われていると考えられています。これは、約10億人分の年間の食料に相当する量です。世界人口の増加に伴い、食料の増産が求められていますが、耕作地の面積には限りがあります。そのため、限られた農地でより多くの作物を収穫する必要があり、農作物を病気から守ることは重要な解決策の一つです。現在、植物の病気がどのように発生・拡大するのかを解明し、その被害を防ぐための研究が進められています。
虫が病気を媒介する仕組み
熱帯地域を中心に、ファイトプラズマと呼ばれる細菌の仲間の病原体が作物に大きな被害を与えています。ファイトプラズマを運ぶのは、ヨコバイという昆虫です。実は、昆虫がこの病原体を媒介する仕組みは、これまでよくわかっていませんでした。そこで、ファイトプラズマを蛍光色素で光らせ、ヨコバイの体内での動きを可視化したところ、ファイトプラズマは昆虫の腸や唾液腺など特定の組織に感染しながら全身に広がることが明らかになりました。こうした媒介の仕組みを理解することで、病原体の昆虫への感染を抑えて媒介を阻止する新しい防除法につながると期待されています。
ソロモン諸島のサツマイモを守る
ソロモン諸島では安定的な食料増産をめざすプロジェクトが進められています。ソロモン諸島は穀物自給率が約4%と低く、肥満人口が多いことも課題となっています。もともと現地では、栄養価の高いサツマイモが主食として広く利用されています。しかし、農薬をあまり使わない農法が多く、ファイトプラズマをはじめとする病気や害虫による被害が問題となっています。そこで、現地の農法や環境に適した病害虫防除技術の開発が進められています。植物の病気を研究することは、世界の食料問題の解決にもつながっているのです。
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