水文学 「水」から地球や地域の環境を読み解く

地球上を巡る水
海の水は大量に蒸発して水蒸気となり、雲をつくります。雲は風に流されて地上に雨や雪となって降りてきます。そして、地下水や川の水となって、また海に戻ります。こうした水の分布や循環にまつわる研究をするのが「水文(すいもん)学」です。
水は、大気や土の中にある物質を溶かし込みながら循環しています。川や池、湖、地下水、積雪といったすべての水が、大気中の排ガスや地中の成分、生活排水など、その地域に由来する物質を溶かし込みながら流れているのです。水の中に含まれる物質を調べることで、その地域の環境の状態を明らかにすることも、水文学の大きなテーマです。
地域の環境の状態を知る
川に含まれる物質は、水源や流域の状態を表しています。例えば同じような火山であっても、10万年前に活動を停止した山を水源とする川よりも、現在活動中の火山に近い川は硫黄などの濃度が高く、水温が高い場合もあります。
雨だけでなく雪も、大気中の物質を取り込みながら降り積もります。何カ月も雪が残る地域では、その雪の中に物質が閉じ込められていますが、春になって雪が溶けだすとき、一気にその成分が川に流れ込みます。雪の溶け具合に比例して徐々に物質が流れ出るのではなく、例えば、1mの積雪が50cmになるころには、雪が抱え込んでいた多くの物質が川に流れ込むという不思議な現象が起きます。一気に酸性の物質などが川に流れ込むことで、川の酸性度が急上昇する「アシッド・ショック」が起こり、川の生態系に悪影響を及ぼすこともあります。
このように、地域の水文学的調査を行うことで、その地域の環境課題の原因や仕組みを理解することができます。
地球の気候変動の歴史がわかる
南極やグリーンランドの地表を覆っている「氷床」も研究対象です。雪や氷にまつわる研究は「雪氷学」と呼ばれます。氷床を特殊なドリルで円柱状に掘り上げて、その氷に閉じ込められた物質や氷の状態を調べることで、何十万年も前からの地球の気候変動の様子などが解明されています。
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