建築視点から考えるリノベーションまちづくり

これまでと、これからに価値を与える
建築学は、新しいものをつくるだけではなく、すでにある建築や地域の営みに、新しい意味や使い方を見いだす学問領域でもあります。そして、リノベーションやまちづくりは、受け継がれてきた空間を未来へつなぎ、暮らしの可能性を広げる実践的な側面を持っています。今後の建築の世界は、「これまで」を活かしながら、「これから」に価値を与えることが重要になります。
災害で一変する海のまち
日本には、海とともに暮らしてきた小さな町が数多くあります。そこでは、住まいと仕事場である港や浜が近接し、暮らしと生業が重なり合う「職住一体」の風景が育まれてきました。しかし、2011年の東日本大震災や2024年の能登半島地震では、多くの海沿いのまちが津波や地震で甚大な被害を受け、元の土地に住み続けられない地域も生まれました。住まいを失うことは、建物だけでなく、海と結びついた営みや地域の日常の変化にもつながります。災害後の復興まちづくりでは、住宅を再建するだけでなく、その土地ならではの暮らしをどう未来へつなぐかが問われています。
災害前に備える「事前復興まちづくり」
地震や津波被害が想定される地域に対しては、「事前復興まちづくり」という考え方があります。これは、災害が起きた後のまちづくりを、災害前から地域で考えておく取り組みです。どの場所を守るべきか、どのような暮らしを継承していくのか、そして地域の営みを災害後にどう再生するのかを、建築やまちづくりの専門家は住民と対話しながら描いていきます。例えば、災害時に断水が起きた際には、かつて使われていた井戸が重要な役割を果たします。こうした昔から地域にある知恵や仕組みを調査し、記録し、現代に活かすことも、リノベーションまちづくりの大切な視点です。災害に備えることは、同時に、その土地らしい暮らしの価値を見つめ直すことでもあるのです。
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先生情報 / 大学情報

大手前大学 建築&芸術学部 准教授 下田 元毅 先生
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建築デザイン、空間デザイン先生が目指すSDGs
先生への質問
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