講義No.15996 建築学

建築視点から考えるリノベーションまちづくり

建築視点から考えるリノベーションまちづくり

これまでと、これからに価値を与える

建築学は、新しいものをつくるだけではなく、すでにある建築や地域の営みに、新しい意味や使い方を見いだす学問領域でもあります。そして、リノベーションやまちづくりは、受け継がれてきた空間を未来へつなぎ、暮らしの可能性を広げる実践的な側面を持っています。今後の建築の世界は、「これまで」を活かしながら、「これから」に価値を与えることが重要になります。

災害で一変する海のまち

日本には、海とともに暮らしてきた小さな町が数多くあります。そこでは、住まいと仕事場である港や浜が近接し、暮らしと生業が重なり合う「職住一体」の風景が育まれてきました。しかし、2011年の東日本大震災や2024年の能登半島地震では、多くの海沿いのまちが津波や地震で甚大な被害を受け、元の土地に住み続けられない地域も生まれました。住まいを失うことは、建物だけでなく、海と結びついた営みや地域の日常の変化にもつながります。災害後の復興まちづくりでは、住宅を再建するだけでなく、その土地ならではの暮らしをどう未来へつなぐかが問われています。

災害前に備える「事前復興まちづくり」

地震や津波被害が想定される地域に対しては、「事前復興まちづくり」という考え方があります。これは、災害が起きた後のまちづくりを、災害前から地域で考えておく取り組みです。どの場所を守るべきか、どのような暮らしを継承していくのか、そして地域の営みを災害後にどう再生するのかを、建築やまちづくりの専門家は住民と対話しながら描いていきます。例えば、災害時に断水が起きた際には、かつて使われていた井戸が重要な役割を果たします。こうした昔から地域にある知恵や仕組みを調査し、記録し、現代に活かすことも、リノベーションまちづくりの大切な視点です。災害に備えることは、同時に、その土地らしい暮らしの価値を見つめ直すことでもあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

大手前大学 建築&芸術学部  准教授 下田 元毅 先生

大手前大学 建築&芸術学部 准教授 下田 元毅 先生

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建築デザイン、空間デザイン

先生が目指すSDGs

メッセージ

当たり前の日常にある「建築」や「まち」も、自分自身の視点で見つめ直せば、まだ気づいていない魅力や可能性に満ちています。大切なのは、専門性を育てながら、地域を深く読み解こうとする能動的な知的好奇心です。建築は、既にある風景や建物に新たな意味を与え、まちの価値を更新していく力を持っています。見慣れた場所を新しい視点でとらえ直すことは、未来の建築のあり方を通して地域を考える出発点になるのです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大手前大学に関心を持ったあなたは

入学してから専攻を決定する「レイトスペシャライゼ―ション」を導入。目標をしっかり決めてから専攻を選べる。学部を超え、異なる専攻を「組み合わせて」学ぶといったことが可能(一部の学部は除く)。また、世界で必要な英語コミュニケーション力が身につく「実践英語プログラム」を設置している。