庶民の言葉が輝く 俳諧が面白い本当の理由

庶民の言葉が輝く 俳諧が面白い本当の理由

人をつなぐ俳諧

俳句というと、五・七・五で表現する高尚な文学というイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、その元となる俳諧(はいかい)は江戸時代に広まり、句を詠み合いながら連句でつないでいくという、人と人のコミュニケーションの側面を持つ文芸でした。和歌のような雅な文学とは異なり、誰もが自由に表現でき、庶民の間に広がった身近な言葉の文化と言えます。人々は俳諧でのやり取りを重ねる中で言語力を磨き、互いの関係を深めていきました。日常の何気ない風景や感情を短い言葉で表現するという点では、現代のSNSにも通じる面があり、言葉の力を考える上で重要なヒントを与えてくれます。

芭蕉が社会に与えたインパクト

松尾芭蕉は、俳諧を芸術として高めた人物として知られていますが、その魅力は作品そのものだけではありません。芭蕉の句は、人々の間で共有されることで、場所の価値や意味を変えていきました。例えば『奥の細道』に登場する東北の土地は、芭蕉の言葉によって新たな魅力が見いだされ、人々の関心を集めていきました。地域の人々の活動や出版文化とも結びつきながら広まり、「一度訪れてみたい場所」として認識されるようになっていったのです。俳諧は、文学でありながら社会の中で機能し、人や地域の暮らしにも影響を与えていたわけです。

俳諧を入口に興味は広がる

俳諧は、作品の言葉を楽しむだけでなく、その背景にある時代や人々の暮らし、詠まれた土地の歴史など、多様な視点から読み解くことができます。なぜ俳諧が庶民の間に広がり、受け入れられていったのかを考えることは、当時の社会や文化を知ることにもつながります。また、一つの句を手がかりに、人物関係や地域の歴史へと興味を広げることができます。AIによって言葉が簡単に生成される時代だからこそ、自分の言葉で考えることの大切さも見えてきます。俳諧をきっかけに、さまざまなテーマへ関心を広げていくことができるのです。

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大手前大学 国際日本学部  教授 辻村 尚子 先生

大手前大学 国際日本学部 教授 辻村 尚子 先生

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俳文学、日本文学、近世文学

メッセージ

進路を考えるとき、「得意かどうか」だけでなく、「なぜ気になるのか」に目を向けてみてください。興味のきっかけは、好きなことだけでなく、うまくできないことや違和感から生まれることもあります。言葉を扱う学問は、自分や社会を見つめ直すことにもつながります。また、文学作品に触れるときは、途中であきらめず、ぜひ最後まで読んでみてください。読み切ることで見えてくる世界があります。加えて、日々の中で感じたことや考えたことを大切にし、自分の言葉でそれを表現してみましょう。

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ゆさぶる、ささる、胸を打つ。「胸を打つ教育」の方法として、1)学部の壁を越えて授業を選択できる「学びのクロスオーバー」、2)キャンパス(教室)をとび出してフィールド(街)を探る活動を行う「クロスバウンダリー」、3)教職員が学生一人ひとりと対話し内省(リフレクション)を促す「1on1リフレクション」、4)ダイナミックな環境での多様な学びと交流「ダイバーシティ&インクルージョン」の4つを展開します。本学の「胸を打つ教育」で、自身の内なる資質を開花させ、学び続ける力を修得します。