同じテノールでも個性いろいろ 声の細分化が進むオペラの世界

役によって異なる声
オペラでは、同じテノールでも、演じる役によって求められる声の特徴が異なります。例えばモーツァルトの代表作『魔笛』では、主人公のタミーノは若々しく気品のある美しい声で歌う役です。一方で、同じテノールでもモノスタトスという登場人物は、少しクセのある性格を表現するため、コミカルで特徴的な歌い方が求められます。このように、同じ声の種類でも、役によって「どんな声が合うか」は大きく異なります。映画やアニメでも、登場人物によって声優が変わるように、オペラでも声の個性に応じて役が選ばれているのです。
声の分類で適任がわかる
このような多様な配役を可能にするのが、声の細かい分類です。ドイツでは細かく声が分けられています。例えばテノールだけでも5つに分類され、それぞれに適した役回りがあります。『魔笛』のタミーノは、やわらかく美しい表現が求められる「リリック・テノール」、一方でモノスタトスは、コミカルな表現に向いた「ブッフォ・テノール」が選ばれます。このように声を細かく分類することで、その人の声に最も合った役がわかるのです。無理に合わない役を歌うと喉に負担がかかりますが、声に合った役であれば、より自然に歌うことができ、長く声楽を続けることにもつながります。
日本の声楽に必要な視点は
一方、日本ではこうした細かな声の分類はまだ十分に広まっていません。そのため、一人の歌手がさまざまな役を担うことも多く、本来の声の特徴が生かされにくい場合もあります。声の分類が進めば、歌手一人一人の個性に合った役を選びやすくなり、より質の高い舞台づくりにつながります。また、歌手自身にとっても、無理なく長く歌い続けることができるようになります。
声の違いを見極めて、その人に合った役を見つけることは、オペラという総合芸術の完成度を高めるためにも重要です。日本の声楽がさらに発展していくためには、こうした視点を広げていくことが求められています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

![選択:[SDGsアイコン目標4]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-4-active.png )



