ゲノム編集でインフルエンザに強いニワトリをつくる

ゲノム編集でインフルエンザに強いニワトリをつくる

危険な「鳥インフルエンザ」

冬になると流行する鳥インフルエンザは、一度発生するとその養鶏場のニワトリはすべて殺処分しなければなりません。さらに近くの養鶏場でも移動が制限されるため、被害が広がると卵や鶏肉が不足し、価格が高騰する原因となります。また、人への感染はまれですが、感染した場合の致死率は高く、さらにそこから新型インフルエンザが発生する危険性もあり、世界中で警戒されています。そこで、鳥インフルエンザに強いニワトリをつくる研究が進められています。ゲノム編集は、その代表的な手法の一つです。

ウイルスの感染と増殖に必要な宿主遺伝子を壊す

ウイルスが細胞に侵入する際に目印とする分子が細胞の表面にあり、これを受容体と呼びます。また、侵入したウイルスは、感染した細胞の分裂に必要なタンパク質を乗っ取ることで自身のコピーをつくり、増殖します。一方でこうした動きに関連する遺伝子を宿主の細胞から取り除けば、ウイルスは増えることができず死滅します。
研究では、このようにウイルスの感染と増殖に必要な宿主が持つ遺伝子を探し、ゲノム編集でそれらの遺伝子を壊した細胞を作成します。感染には複数の遺伝子が関係する可能性もあり、非常に多くのパターンがあるため、網羅的に候補遺伝子を探索します。細胞の実験で重要な遺伝子が見つかれば、遺伝子を改変したニワトリを実際に作成して経過を観察します。このようにして、「インフルエンザに強いニワトリ」にアプローチしていきます。

インフルエンザに強いニワトリで鳥と人に健康を

時間のかかる研究ですが、近い将来めざすニワトリができると考えられています。しかし、ゲノム編集を施した食べ物に対する消費者の警戒感は強く、安全性の証明や啓発活動は欠かせません。そのため市場に出回り、私たちが口にするようになるまでには、さらに時間がかかるかもしれません。一方で、このような新しい育種方法が広がることで、人も畜産動物もより健康的に過ごすことができる社会が形成できるのではないかと期待されます。

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名古屋大学 農学部 資源生物科学科 鳥類バイオサイエンス研究室 助教 奥嵜 雄也 先生

名古屋大学 農学部 資源生物科学科 鳥類バイオサイエンス研究室 助教 奥嵜 雄也 先生

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遺伝子工学、動物生産科学

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