体内の狙った部位に薬をお届け! 「ドラッグデリバリー」の研究

薬の形や投与法はなぜ違う?
飲む、注射する、塗るなど、薬にはさまざまな投与法があります。同じ飲み薬でも錠剤やカプセル、粉薬があるように、薬の形(剤形)もまたさまざまです。
体内に入った薬は体の中をめぐり、代謝・分解され、体外に出ていきます。この過程で効果を発揮するのは実は簡単ではなく、例えば代謝・分解のスピードが速すぎると、薬効成分が効いてほしいところに届かないまま排泄されてしまいます。薬はどれも期待通りの効きめが出るように、投与法や剤形が決められているのです。
体を旅する薬をコントロール
例えば飲み薬であれば、口から入って胃や腸で溶けて吸収され、血液の流れに乗って分布(全身の組織や臓器に運ばれること)し、肝臓で代謝され、最後に腎臓などから排泄されます。こうした薬の旅の道のりを知り、吸収、分布、代謝、排出のタイミングやスピードをコントロールする技術を「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」と言います。
DDSは宅配便に似ています。宅配便が指定された場所・時間に荷物を届けるように、DDSは薬効成分を必要なとき必要な部位に必要な量だけ届けます。新薬の開発において、投与法や剤形を工夫するDDSの研究は不可欠なのです。
臓器に貼る薬
効果を最大限に出すとともに、副作用を減らすこともDDSの目的です。例えば抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にもダメージを与えます。肝臓がんの薬が肝臓だけに届くように、肝臓の表面から直接投与する方法が研究されています。
液状の薬を表面に投与すると周りの臓器に広がるため、粘り気を高めたジェル状の素材が試されましたが、体が動くとやはり周囲に広がってしまいます。そこで、臓器に貼り付けるシート状の薬が開発されました。薬を含むシートの上に薬を含まないシートを重ねてカバーする二層構造で、薬が周囲に漏れ出すのを防ぐ仕組みです。こうした工夫でマウスでの実験では臓器に集中的に薬が吸収されることが確認されており、ヒトへの応用が期待されています。
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