正解のデザインなし! 憲法は国によって色とりどり

同性婚も夫婦別姓も
「憲法」と聞いても身近な存在には感じられないかもしれませんが、実は私たちの生活に深く関わっています。憲法の重要な役割の一つが、政府の権力を制限することです。政府が打ち出す政策や法律が憲法に反していないかを判断する仕組みを「違憲審査制度」といいます。例えばアメリカでは9人の最高裁判事が、「人種を考慮した大学入試は平等原則に反するかどうか」といった憲法に関わる問題を判断しています。日本でも、夫婦別姓や同性婚、女子限定の入学枠などをめぐって「憲法に適合しているか」が問われています。私たちが普段意識しないところで、憲法は社会のルールを支えているのです。
歴史を映す違憲審査
では、違憲審査はどの機関が担うべきなのでしょうか。答えは国によって異なり、アメリカでは最高裁判所、ドイツでは憲法問題を専門に扱う憲法裁判所が審査を担います。
一方、フィンランドでは、裁判所ではなく国会の委員会が担当します。フィンランドがこうした制度を選んだ背景には、旧ソビエト連邦の支配下で司法の独立性が損なわれていた歴史があります。自分たちでコントロールできる機関に委ねようとした結果が、国会の委員会という選択だったのです。制度の違いは、その国の歴史を映し出しています。
芸術に近い?
憲法のデザインは「科学」より「芸術」に近いとも言われます。同じテーマで絵を描いても10人いれば10通りの絵ができるように、憲法の設計に唯一の正解はなく、その国の歴史や文化、社会の状況に合わせて形づくられるものだからです。だからこそ、社会の前提条件が異なれば、制度の意味も大きく変わります。例えば紛争が続く地域では、教育や環境問題に取り組むどころではありません。平和と正義こそが社会の土台であり、その土台を支える仕組みの一つが憲法です。
憲法を学ぶことは、条文やルールを覚えることではありません。よりよい社会のあり方を考えることにつながるのです。
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