「電気化学」でクリーンな創薬方法を開発! CO₂と廃棄物を抑制

複素環化合物の新合成法
多くの医薬品には、「複素環化合物」という生物活性(体に作用を起こすこと)の性質を持つ化合物が使われています。複素環化合物とは、炭素とともに窒素、酸素、硫黄などの原子がつながって輪の形をした化合物の総称で、この骨格にフッ素、重水素などさまざまな元素を付け加えて、異なる薬効を生み出します。
新しい複素環化合物の創出は、創薬においてとても重要です。しかし、複素環化合物を合成するには複雑な工程が必要で、効率よく合成することは困難です。加えて、昨今はできるだけCO₂や廃棄物を出さない製造方法が求められています。そこで、複素環化合物の新しい合成方法が研究されています。
電流を流して化学反応
新たな方法の一つが、「電気化学」による合成法です。従来は、試薬や触媒(化学反応を促進するもの)を使う方法が主流でした。しかし、触媒に使う金属が高価だったり、廃棄物として処理が必要な副産物が出たりするという問題がありました。
電気化学は、電流を流して化学反応を起こす方法です。原子、分子が結びついたり分離したりするときは、必ず分子、原子の間で電子のやり取りが発生します。プラスとマイナスの電極を溶液中に入れて電流を流すと、強制的に電子が移動し、試薬や触媒を使わずに化学反応が起きます。太陽光発電などのグリーン電力を使えば、CO₂排出を抑えることができるのです。
環境規制を守る手法の確立を
最近の研究では、さらに効率化する方法の開発が進められています。それは、プラスとマイナスの電極の両方で起こる反応を活用する方法です。これまでは、2つの電極で起こる反応を同時にコントロールすることが難しいため、どちらかの電極で起こる反応だけを利用し、もう片方の電極でできる物質は廃棄されていました。両方の電極で起こる反応を利用すれば、廃棄物がなくなるというメリットがあります。こうした合成法が確立されれば、製薬会社に課されたCO₂排出や廃棄物の規制も守ることができるのです。
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