高感度センサから飛行機の窓まで 技術革新を進めるナノ技術

高感度センサから飛行機の窓まで 技術革新を進めるナノ技術

電気エネルギーで作るナノ材料

同じ金属の物質でも、ナノメートル(百万分の1ミリメートル)のスケールまで小さくすると、物理的・化学的な性質が変化して、通常のサイズとは異なる特性を持つようになります。ナノスケールでは体積に対する表面積の割合が非常に大きくなるためです。
現在、ナノならではの特性を持つ「ナノ構造材料」を、電気エネルギーで作る研究が進められています。ナノ材料を作るには、熱や光のエネルギーが一般的に使われます。一方、電気エネルギーによる製造は、電解液に金属の基板を入れて、表面にナノ構造を持つ均一な金属層を析出させることができるため、より少ない工程でできるメリットがあります。

独特な形状の金ナノ粒子

金のナノ粒子に電気エネルギーを与えると、いろいろな形状のナノ構造を生成できます。例えば、ハロゲン化物を添加するとスパイク状の構造体となりますが、これはスマートウィンドウへの応用が試みられています。スマートウィンドウは、電圧の変化により無色・色付きが切り替わるガラス窓で、飛行機などに使われます。色が変わるのは、組み込まれている酸化ニッケルの酸化還元状態によるものですが、酸化ニッケルの導電率は低く、切り替えの反応はあまりよくありません。そこでスパイク状の金ナノ粒子を加えて導電率を上げることで、瞬時の切り替えが可能になります。同じ金ナノ粒子でも球状のものは金の色が出てしまうので使えません。スパイク状の構造は導電率の良さと、無色になったときの透過性の高さに貢献しているのです。

金属ナノ粒子でセンサの感度を増幅

金ナノ粒子を利用した高感度センサの開発も進められています。金属ナノ粒子は光の照射を受けると、粒子のサイズが光の波の山よりも小さい場合に、100万倍から1億倍にも光を増幅させる特性があります。この特性を利用し、センサ物質の表面に金ナノ粒子の層を作ることで、分子の観察や微量成分の検出に活用できると期待されます。

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山陽小野田市立山口東京理科大学 工学部 応用化学科 講師 王可瑄 先生

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ナノ材料化学

メッセージ

ものづくりの夢を抱いて理系をめざすのは素晴らしいことです。その夢をかなえるには、高校でしっかり勉強することが大切です。大学受験さえ乗り切ればよいと考えているとしたら、それは間違いです。大学でより難しい課題に取り組めるよう、高校時代に実力をつけておきましょう。海外の人とコミュニケーションを取るときには言葉の壁だけでなく文化の壁もあります。そのため、地理や歴史などの文系科目にも力を入れて、文系の感性を磨いておいてください。視野を広く持つと人生がより楽しくなるはずです。

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山陽小野田市立山口東京理科大学は「確かな基礎教育」を掲げ、基礎学力を育成する体系的な教育を行っています。2016年4月、公立大学法人へと移行、2018年4月西日本初の公立の薬学部を設置し、工学部・薬学部の二学部体制となりました。東京理科大学の姉妹校として、基礎学力を重視した実力主義の教育を受け継ぎ、工学・薬学の専門的な学術を教育・研究するとともに、地域産業界・医療界で活躍する人材を育成します!