人の関係性、活動まで「設計」する建築デザインとは

土地がわからない計画
建築の設計は通常、敷地と予算を決めてから始まります。しかし、東日本大震災から数年たった被災地では、地域に集会場を建てる計画がありながら、敷地や予算がなかなか定まらない状況がありました。そこで、基本となる小さな建物1棟を想定し、その設計と建設費を先に決める方法が取られました。その後、敷地や予算が明らかになった段階で、金額と想定面積に応じて基本の建物を複数棟並べる建築案が提案されたのです。その結果、海沿いの地形に合わせて建物が横に並ぶ集会場が完成しました。不確定な状況に対応した、柔軟な設計が完成を可能にしたと言えます。
使い方で形が決まる
建築というと、形や外観を決めることが中心だと考えられがちです。しかし実際には、設計の前後を含めたプロセスが重要になる場合があります。集会場の例のように、敷地と予算が決まらないという条件から設計を考えることもあれば、完成後にどのように使われ、どのような活動が生まれるかを想定し、使われ方から形が決まることもあります。このように、建築は単に形をつくるのではなく、人の活動や関係性を含めた「仕組み」をデザインする行為としてとらえることができます。
柔軟な設計で社会を支える
現代の日本では、家族のあり方や社会の構造が大きく変化しています。かつての大家族から核家族化が進み、現在では一人暮らしが全世帯の約35%を占めるまでになりました。こうした変化に対応するため、住人同士がゆるやかにつながるコーポラティブハウスのような住み方や、新しいコミュニティの形が模索されています。また、児童発達支援施設など、これまで十分に対応されてこなかった課題に向き合う建築の工夫も求められています。
建築は単なる空間づくりではなく、社会の変化に応じて人の活動を支える役割を担っています。これからの建築には、状況に応じた柔軟な発想と、社会との関係を考える視点がますます重要になります。
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