遺跡からわかる人類と自然の関係性は? 過去から環境問題を考える

自然環境に適応した暮らし 日本の縄文時代
アフリカ大陸で誕生した現生人類は世界中に拡散し、約4万年前に日本列島にたどり着きました。旧石器時代を経て、縄文時代が始まりました。縄文文化の中心となったのは北海道と北東北です。この地域の遺跡周辺で地質調査を行うと、過去の堆積物が採取できます。堆積物の中に含まれる珪藻(けいそう)や花粉を調べれば、かつてはどこまでが海で、どんな植生だったのかがわかります。縄文時代の人々は、急速な温暖化とそれに伴う環境変化のもとで暮らしたようです。貝塚などに残された食の痕跡からは、変化する環境の中でも縄文人は自然資源が枯渇しないように四季のサイクルに合わせて動植物を有効活用していたことがわかります。ある意味、SDGs的な生活をしていたわけです。
都市の発生 地中海世界における自然の改変
人類と自然の関わり方の転換期と言えるのが、都市の形成です。例えばヨーロッパのローマ遺跡周辺を調査すると、自然を利用するというより、かなり手を入れていたことがわかります。有名なローマ水道にしても、本来は水が流れるべきでないところに無理やり水路を造っているのです。また、都市周辺では森林が伐採されました。これも堆積物中の花粉を分析すればわかることで、都市化以前は今よりも豊かな植生であったようです。いわば地中海世界の発展は、自然の改変を繰り返すことで現在に至っていると言えます。
人類は自然とどう付き合ってきたか
近年、環境問題がクローズアップされ、地球の異変であるかのように見えます。しかし、災害は自然環境の変化だけではなく、人々の暮らし方の変化が引き起こしている面もあります。沖積平野に形成された古代メソポタミアの都市は、たびたび洪水に襲われたことがわかっています。人々が自然に負荷をかけたことによって生じた環境問題や自然災害の痕跡は世界中の遺跡で確認できます。人類がどう自然と付き合ってきたかを学ぶことで、現在の環境問題を俯瞰(ふかん)的にとらえることができます。
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