難度の高い肝臓がん手術 健康な部位を残す新技術は?

がん切除と肝機能維持のバランス
肝臓は栄養素の代謝を担う生命維持に欠かせない臓器です。がん(悪性腫瘍)ができた場合には、周囲の正常な部分も含めて切除する必要がありますが、切除しすぎると肝不全を起こす危険があります。そのため、がんを取り切りながら、肝臓の機能を十分に残すための安全かつ確実なバランスを見極めることが重要です。また、肝臓は胆管や膵(すい)臓と密接に関わる臓器であり、これらをまとめて扱う分野は「肝胆膵外科」と呼ばれています。肝胆膵外科は、精密な解剖理解と高度な技術が求められる、消化器外科の中でも特に専門性の高い分野です。
蛍光ナビゲーション技術で精度アップ
精度の高い手術を支えているのが、ICGという特殊な薬剤を用いた蛍光ナビゲーション技術です。ICGは、赤外線カメラで撮影すると光って見える性質があり、専用カメラを用いた腹腔鏡手術で肝臓内部を可視化できます。肝臓は8つの区域に分かれており、切除したい区域につながる血管を一時的に遮断した状態でICGを投与すると、その区域には薬剤が届きません。その結果、残すべき部分だけが光って映し出され切除すべき境界が明確に浮かび上がります。この技術により従来は術者の経験に大きく依存していた難しい手術でも、より安全で精密な手術が可能になっています。
残す部分を増やす新手法
肝臓の7~8割の切除が必要な場合、残る肝臓が少なすぎるため手術ができないこともあります。しかしすぐに諦める必要はありません。なぜなら肝臓には再生能力があるため、事前の処置により手術可能な状態にすることもできるからです。切除する部分に血液を送る血管(門脈)をふさいでおくと、がんのない健康な部分に血流が集中し、2~3週間かけてその部分が大きく育ってきます。それでも足りない場合、もう一方の血管である肝静脈もふさぐことで、残す側をさらに増大させる手法が研究されています。現在は複数の大学病院により共同臨床試験が進められており、より多くの患者が手術を受けられるようになる可能性があります。
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先生情報 / 大学情報

群馬大学 医学部 医学科 肝胆膵外科 准教授 新木 健一郎 先生
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肝胆膵外科先生が目指すSDGs
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