分野を越え、生命を「ありのまま」に見る技術

バイオイメージングの発展と特徴
生命科学において、生きた細胞をそのままの状態で観察することは、長年の重要な研究課題です。この課題に取り組む研究分野が、光工学と生命科学を融合させた「バイオイメージング」です。
顕微鏡は長年にわたり主要な研究ツールとして用いられてきましたが、従来の装置では観察できる範囲が限られ、生命全体の動態を把握するには制約がありました。こうした課題に対し、広い視野と細かいものを見分けることが両立する、新たな顕微鏡技術の開発が進められています。光学・機械・電子回路・プログラミングを組み合わせ、装置そのものを設計・製作していくのです。
広い視野が明らかにする生命現象
例えば人工心筋シートを観察する場合、従来の顕微鏡ではその一部分を詳細に見るか、全体を眺めるか、どちらかしかできません。しかし広視野かつ高解像度の装置を用いることで、電気信号がどこから発生し、波のように伝わっていくかという動きの全体像をとらえられるようになります。さらに三次元データを取得することで、脳などの組織内部構造を細胞レベルで立体的に解析することも可能になっています。こうして得られる膨大な画像データはAIによって解析され、異常な動きを示す細胞の検出などにも活用されています。多数の細胞を同時に観察することで、これまで見えなかった生命現象の理解が進むことが期待されています。
分野を越えた学びが医療の未来を開く
装置開発を中心とするこの研究には、光の性質(物理)、細胞の振る舞い(生物)、装置の設計(工学)、データ処理(情報)といった複数分野の知識が求められます。実際の研究では分野間の境界は明確ではなく、目的に応じて知識や技術を組み合わせることが重要です。大量の画像データを扱う場面ではAIの活用も進んでいますが、重要なのはAIそのものではなく、「何を明らかにするのか」という研究の問いです。バイオイメージングの技術が生命科学や医療に果たす役割は、今後さらに広がっていくと考えられます。
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