構造制御の新技術で半導体を冷ませ! 需要高まる熱制御技術

構造制御の新技術で半導体を冷ませ! 需要高まる熱制御技術

電気自動車、データセンターの発熱問題

スマートフォンを長時間使っていると本体が熱くなることがありますが、その原因の一つは半導体の発熱です。生成AIの普及で建造が進むデータセンターや、大電流を制御する電気自動車は、この発熱問題が深刻で、熱を制御する「サーマルマネジメント」の需要が高まっています。
サーマルマネジメントとは、発熱による半導体の性能低下の防止や、冷却に必要なエネルギーの削減、冷却ユニットの小型化なども含めた技術を指します。半導体の熱を逃がす部品にヒートシンクがありますが、半導体とヒートシンクの間に隙間があると効率よく放熱できません。そこで必要なのが半導体とヒートシンクの隙間に挟む放熱シートです。

「電界整列」で放熱シートを開発

放熱シートは、半導体とヒートシンクに密着する柔軟な樹脂に、熱伝導性の高いフィラー(詰め物)を入れたものです。樹脂の中のフィラーの密度が粗い状態では熱がうまく伝わりませんが、フィラーの量を増やすと今度はシートの柔軟性が失われてしまう、というのが、放熱シートの課題でした。
これに対応するため新しく開発されたのが、「電界整列」という構造制御技術で作られた放熱シートです。樹脂の中に先端機能材料であるダイヤモンドのフィラーを整列させて、熱伝導性と柔軟性を実現しました。樹脂を電極で挟んで電圧をかけると、電界によりフィラーの内部でプラスとマイナスが分かれます(誘電分極)。そのプラスマイナスの引き合う力でフィラーが整列するのです。もっとも、これだけでは重力の影響でフィラーが沈んでしまうので、電極全体をゆっくり回転させて、重力の影響を打ち消しています。

先端材料のコスト削減、効率化

このような電界整列技術は、放熱シートのように少量の先端材料でデバイスを高性能化することを可能にします。さらに、通信分野や再生可能エネルギー分野などでも先端材料の量を削減して効率化することができ、地政学的リスクのあるレアアースなどへの依存を減らせると期待されています。

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関西大学 システム理工学部 グリーンエレクトロニクス工学科 准教授 稲葉 優文 先生

関西大学 システム理工学部 グリーンエレクトロニクス工学科 准教授 稲葉 優文 先生

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電気電子材料工学

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メッセージ

大学での研究では、高校の理科の物理・化学・生物・地学をすべて使っています。受験科目かどうかを問わず、どれも広く楽しく勉強してください。その知識を前提とした楽しい世界が大学には存在します。これはネットで調べても出てこない、自分で切り開いていく世界です。研究では、基礎理論も実験も社会実装もすべて大切です。私の研究室で取り組んでいる半導体の後工程に貢献する技術の開発は、社会を見据えながら面白いと思ったことを突き詰められる領域です。もし興味を持ったなら、ぜひ本学で一緒に研究しましょう。

先生への質問

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1886年に「関西法律学校」として開学した関西大学は、商都・大阪に立地する大学らしく、学理と実際の調和を意味する「学の実化」を教育理念に掲げています。2026年4月には、システム理工学部に新たにグリーンエレクトロニクス工学科を開設。また、千里山キャンパス北東2.2kmには「吹田みらいキャンパス」が誕生し、2025年開設のビジネスデータサイエンス学部の学舎をはじめ、国際学生寮やグラウンドを配置するなど、企業・自治体との連携や留学生交流、体育会活動など多様な学びを育む環境が広がっています。