一見不合理な人間の行動は、ゲーム理論で解明できる

自分の利益は他者の行動に左右される
ゲーム理論とは、自分の利益が他者の選択によって左右される状況において、どのように行動すべきかを分析する理論の一つです。この理論の核となるのは、自分が最大の利益を得るために、相手がどう動くかを先読みして戦略を立てる点にあります。お互いの先読みの結果、行動に食い違いが起きず、出し抜くことができない状態を「均衡」と呼び、実現する結果と考えます。ゲーム理論では、どのようなルールや条件を設定すれば、均衡を望ましい方向へ導けるのかを考え、さまざまな思考実験を行っていきます。
寄付は一度限りの方がよい
ゲーム理論の一例として、クラウドファンディングについて取り上げます。クラウドファンディングとは、不特定多数から資金調達を行う仕組みで、設定した目標金額を期間内にクリアすれば資金を受け取ることができます。クラウドファンディングを行うときに、どのような設計をすれば目標達成に有効なのかを確かめるため、ある実験が行われました。その結果、複数回の寄付をお願いするよりも、寄付のお願いは1回限りと制限を設けた方が、よりよい結果につながることがわかりました。一見すると機会を狭めているように思える制約が、かえって全体の効率性を高めることが判明したのです。
不祥事を隠すのはなぜ?
企業が重大な問題を隠していたというニュースがたびたび流れますが、こうした不祥事を起こす人の行動もゲーム理論で説明できます。責任者が問題に気づいた際、それを社内で報告して解決されるならよいですが、解決できないこともあるでしょう。問題に気づけなかった責任と、問題を解決できない責任を比べて、もし後者の責任の方がより重い場合、正直に問題を報告すると、より大きなデメリットを負うことになってしまいます。そのため、より重い責任の回避を優先し、あえて知らないふりをするという隠蔽(いんぺい)が起こるのです。このようにゲーム理論に基づいて物事を見ることで、一見不合理に見える人間の行動が、合理的に説明できるようになります。
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