目に見えない光の不思議 人への影響を解明する

可視光線と見えない紫外線
光には、電磁波が描く波の間隔の長さ、「波長」の違いがあり、波長の長い光はエネルギーが弱く、波長が短くなるほど強くなります。人の目で見える「可視光線」は、光の中のごく一部だけが見えている状態で、赤色に見えるのは波長が長く、紫色は短い光です。紫よりさらに波長が短く、目には見えない光が紫外線(UV)です。
紫外線は細胞のDNAに損傷を与え、老化やがんの発生にも関わるとされています。DNAの損傷は、鎖が切れてしまうものもあれば、「ピリミジンダイマー」と呼ばれる小さな傷もあります。こうした損傷が蓄積すると細胞分裂がうまくいかなくなり、病気につながる可能性があります。
論文は正しいのか
紫外線の中でも、DNAを強く傷つけるのはUVBやUVCであり、UVAは影響が比較的穏やかだと考えられてきました。ところが近年、「UVAでもピリミジンダイマーが起きる」という論文が発表され、それを検証する研究が進んでいます。論文の研究では、紫外線ランプにフィルターを使ってUVAを取り出して照射してました。しかし、もしわずかでもUVBが混ざっていれば、結果の解釈が変わる可能性があります。そこで注目されているのがLEDです。LEDは特定の波長のみをシャープに照射できるため、余分な波長が混ざりません。純粋なUVAだけの影響を調べることで、より正確な検証が可能になります。
光の「境界」を明らかに
紫外線研究というと、殺菌や美白化粧品の開発といった応用研究がよく知られています。一方で、上記の研究は、「本当にその現象が起きているのか」を問い直す基礎研究です。そもそも紫外線と可視光線の境界も、人間が便宜的に区切ったものにすぎません。スマートフォンの画面などのブルーライトはDNAに影響を与える可能性が示されています。ただし、光が細胞に与える影響は光の強さによって大きく異なるため過度に心配する必要はありません。見える光と見えない光の境界に着目し、影響を検証することで、光への理解はさらに深まります。
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玉川大学 農学部 生産農学科 教授 佐藤 一臣 先生
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