講義No.16252 生物学 化学

目に見えない光の不思議 人への影響を解明する

目に見えない光の不思議 人への影響を解明する

可視光線と見えない紫外線

光には、電磁波が描く波の間隔の長さ、「波長」の違いがあり、波長の長い光はエネルギーが弱く、波長が短くなるほど強くなります。人の目で見える「可視光線」は、光の中のごく一部だけが見えている状態で、赤色に見えるのは波長が長く、紫色は短い光です。紫よりさらに波長が短く、目には見えない光が紫外線(UV)です。
紫外線は細胞のDNAに損傷を与え、老化やがんの発生にも関わるとされています。DNAの損傷は、鎖が切れてしまうものもあれば、「ピリミジンダイマー」と呼ばれる小さな傷もあります。こうした損傷が蓄積すると細胞分裂がうまくいかなくなり、病気につながる可能性があります。

論文は正しいのか

紫外線の中でも、DNAを強く傷つけるのはUVBやUVCであり、UVAは影響が比較的穏やかだと考えられてきました。ところが近年、「UVAでもピリミジンダイマーが起きる」という論文が発表され、それを検証する研究が進んでいます。論文の研究では、紫外線ランプにフィルターを使ってUVAを取り出して照射してました。しかし、もしわずかでもUVBが混ざっていれば、結果の解釈が変わる可能性があります。そこで注目されているのがLEDです。LEDは特定の波長のみをシャープに照射できるため、余分な波長が混ざりません。純粋なUVAだけの影響を調べることで、より正確な検証が可能になります。

光の「境界」を明らかに

紫外線研究というと、殺菌や美白化粧品の開発といった応用研究がよく知られています。一方で、上記の研究は、「本当にその現象が起きているのか」を問い直す基礎研究です。そもそも紫外線と可視光線の境界も、人間が便宜的に区切ったものにすぎません。スマートフォンの画面などのブルーライトはDNAに影響を与える可能性が示されています。ただし、光が細胞に与える影響は光の強さによって大きく異なるため過度に心配する必要はありません。見える光と見えない光の境界に着目し、影響を検証することで、光への理解はさらに深まります。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

玉川大学 農学部 生産農学科 教授 佐藤 一臣 先生

玉川大学 農学部 生産農学科 教授 佐藤 一臣 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

分子生物学、細胞生物学

先生が目指すSDGs

メッセージ

ぜひ、「目に見えないもの」に関心を持ってほしいです。花が咲いたり、日光を浴びて日焼けしたりといった現象の裏では、細胞や分子レベルでさまざまな反応が起きています。生物の仕組みは、実はこうした化学の積み重ねで理解することができるのです。見えているものに対して「なぜ」と感じて、見えない部分に目を向けて考えることが、学びの入り口と言っても過言ではありません。高校生のうちから、見えない仕組みを想像する力を育てて、大学で学びを深めていきましょう。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

玉川大学に関心を持ったあなたは

―8学部17学科がワンキャンパスに集まる総合大学!―「全人教育」の理念のもと“「人」を育てる”ことをめざす玉川大学は、8学部17学科の学生がワンキャンパスで学んでいます。61万㎡の広大な敷地には、各学科での深い学びに加え、学部学科の垣根を越えた学びの環境を用意。学外での体験型学修や、「使える英語力」を身につける「ELFプログラム」などの独自プログラムも実施しています。また、2020年4月に利用開始した「STREAM Hall 2019」では、農・工・芸術学部が学部の枠を越えた学びを展開します。