講義No.16295 社会福祉学

福祉に関わる人の能力は? 相手にコミットする力を探る

福祉に関わる人の能力は? 相手にコミットする力を探る

優しいだけでは燃え尽きる?

福祉の仕事に携わる人は「優しい人」「いい人」と評価されることが多いです。しかし、相手が困っていること、求めていることに応える仕事は、相手に責任を持つ(コミットする)ことに価値を感じていないと続かないものであり、単に「優しさを生かして働いている」という認識だけでは、いつか燃え尽きてしまうことがあります。
このことから、福祉の仕事に関わる、あるいは関わりたいと考える人が、相手と関係を築き、つながり続けていくことをどう感じ、どの程度重要視しているかについて、調べる研究が行われています。

自信・やりがいを感じるのは

まず道徳性と仕事観がどのように結びついているかを調べるため、研究では、福祉の仕事をめざす学生に対して、道徳性に関するインタビューが実施されました。調査では、「相互依存によって生きることを肯定的に捉えるか」「自立して生きることが重要だと考えるか」「『優しさ』をどう定義しているか」を学生に尋ねました。その結果、優しさは弱さと認識し、優しいという評価は自分の自信につながっていない人が多いことがわかりました。
福祉の仕事では、高齢者や障害者など多様な個性や価値観を持った人と関係を築き、思いに応えていくことが求められます。それを単に優しさからの行動として片付けるのではなく、「相手にコミットする能力」として整理、言語化することで、自信ややりがいにつながると考え、研究が続けられています。実際に認知症の人を支える際、一瞬でも笑い合える経験をした人は高い幸福感を得られ、やりがいを感じるという報告があります。

人とつながり続ける「強さ」

福祉に携わる人には、「優しさ」だけではなく、人とつながり続けることができる「強さ」があると考えられますが、それを示す客観的根拠は、まだ多くはありません。根拠が明らかになり、福祉に携わる人たちの能力が言語化されれば、社会的評価もますます上がり、さらにプライドを持って働けるようになると考えられます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

金城大学 人間社会科学部 社会福祉学科 准教授 久富 郁代子 先生

金城大学 人間社会科学部 社会福祉学科 准教授 久富 郁代子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

社会福祉学、地域福祉学

メッセージ

好きなことがあるということは、生きていく上での大きな機動力になります。これは調べたり、頭で考えたりするだけではわからないので、ぜひ今のうちにいろいろと行動し、経験を通して見つけてほしいです。私の場合は、福祉を通していろいろな人たちと人生の時間や価値観を共有することが、自分の好きなことであり、この分野の魅力だと感じています。人とのつながりに喜びを感じるようなら、ぜひ福祉の分野にも目を向けてみてください。

金城大学に関心を持ったあなたは

金城大学での学びは、知識や技術、資格を身につけるだけではありません。人と関わり、地域とつながり、自分自身の可能性を広げていく時間でもあります。
金城大学では保健・医療・福祉・保育・経済分野における地域に根差した実践的な学びを通して、人と社会に寄り添い、課題解決に挑戦する力を育みます。120年を超える歴史を持つ金城学園の伝統のもと、一人ひとりの個性を大切にしながら、地域社会に貢献できる人材の育成を目指しています。