口の健康が全身の健康の要! 口腔ケアの新たな役割を知る

口の健康が全身の健康の要! 口腔ケアの新たな役割を知る

口の中の細菌が肺炎の引き金に

日本では誤嚥(ごえん)性肺炎による死者が急増しており、一般的な肺炎と合わせると死因の第4位です。特に高齢者の肺炎の多くが誤嚥性肺炎といわれており、今後ますます高齢化が進む日本においてその対策は急務です。この問題は歯科医療とは無関係に思うかもしれませんが、口腔(こうくう)内に存在する細菌が、誤嚥性肺炎の発症に深くかかわっていることが明らかになっています。加齢により嚥下(えんげ)機能(飲み込む力)が低下すると、食べ物や唾液が誤って気道に入ることがあります。このとき口腔の衛生状態が悪いと、口腔細菌を多く含んだ唾液が肺に達して肺炎が起こりやすくなるのです。

ウイルスと手を組む口腔細菌

口腔細菌の影響は、誤嚥性肺炎にとどまりません。例えばインフルエンザでは、歯周病菌などの口腔細菌が作り出す物質がウイルスの感染性を高めたり、感染の拡大を促進する可能性があります。口腔環境が悪い状態にあるほど、インフルエンザの発症リスクが高くなる可能性がありますが、きちんと口腔衛生管理を行うことで発症が抑制されることも報告されています。またCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)では、歯周病菌がウイルスの細胞への侵入を助けることなどが確認されており、特に歯周炎患者は重症化のリスクが高いことも示されています。新型コロナウイルスが口腔で増えることもわかっています。口腔の健康状態が、ウイルス感染症の発症や重症度を左右しうるのです。

口は全身への入り口

口腔は、私たちの体の入り口です。誤嚥性肺炎を発症した高齢者を対象とした研究では、歯科医師が口腔内のプロフェッショナルケアを行うことで再発や死亡率が抑制されることが示されました。口をきれいに保つことが、命を守ることにつながっているのです。口の健康を守ることは、全身の健康を守ることでもあります。このような事実を広く知ってもらうための啓発活動や研究の推進を通じて、すべての人に適切な口腔ケアが届く、健康な社会の実現がめざされています。

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日本大学 歯学部 感染症免疫学講座 教授 今井 健一 先生

日本大学 歯学部 感染症免疫学講座 教授 今井 健一 先生

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歯学、感染症・免疫学、細菌・ウイルス学

先生が目指すSDGs

メッセージ

歯科医師というと、虫歯を治したり入れ歯を入れたりする仕事というイメージが強いかもしれません。しかし口腔の健康は、肺炎やインフルエンザ等の呼吸器疾患や糖尿病、認知症など全身の様々な病気と深く関連しています。口腔ケアや歯周病の治療等を通じて人の命と健康を守ることもできる、それが歯科医師の仕事です。その可能性はますます広がっていくでしょう。現在、口腔は医科など他分野からとても注目されています! もしあなたが歯科医療や口腔ケアに興味を持っているなら、ぜひその意思と可能性を胸に、この道を志してほしいです。

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