講義No.16417 建築学

インドと京都に似た住宅? 世界の建築に「空間の型」を探る

インドと京都に似た住宅? 世界の建築に「空間の型」を探る

離れた国で共通の空間の型

世界各地の建築はそれぞれ独特であり、国や地域の特色が表れています。しかし詳しく調べると、離れた地域の建築でも共通した「空間の型」が見られることがあります。例えば、マレーシアのショップハウスや、インド西部のアフマダーバードの伝統住宅は、間口が狭く、奥行きが長い「短冊型」の造りをしていて、住宅の内部には中庭があります。密集した街の中でも、光や風を取り込んで快適に暮らすための工夫です。
実は、この構造は京都などの町家とよく似ています。両者が直接影響し合ったわけではありませんが、人が快適に暮らそうと考えた結果、似た空間のパターンが生まれたと考えられます。人々の暮らしの知恵が共通の最適解になったと言えるでしょう。

日米の大学キャンパスでも

空間の型は、住宅だけではありません。例えば、明治時代に来日して多くの建築を設計した建築家、ウィリアム・メレル・ヴォーリズは、アメリカの大学の空間の型を日本へ持ち込みました。ヴォーリズが1920年代に設計した大学のキャンパスの一つは、中央の芝生を囲むように校舎が配置されています。これは、当時アメリカの大学で広く採用されていたキャンパス空間の型です。また、校舎の外観には「スパニッシュ・ミッション・スタイル」と呼ばれるデザインも採り入れられました。このスタイルは、当時の日本の住宅建築にも広がり、新しい建築文化として定着していきます。このように、国や地域を越えて受け継がれる「空間の型」も存在しています。

伝統の知恵を未来の建築に

空間の型を分析することは、昔の建築を知るためだけではありません。例えば、インドや京都の住宅の、風や光を取り込んで快適に暮らす工夫は、環境問題を考える現代の住宅にも生かすべき考え方です。また、大学キャンパスの型は、人が自然に集まって交流しやすい配置であり、その考え方は現在のキャンパス設計でも踏襲されています。こうした価値のある空間の型を見いだし、未来の建築へ応用していくことが求められているのです。

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先生情報 / 大学情報

関西学院大学 建築学部 建築学科 教授 山根 周 先生

関西学院大学 建築学部 建築学科 教授 山根 周 先生

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建築計画学、地域生活空間計画学

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メッセージ

建築やまちづくりに興味がある人は、デザインやものづくりに目が向きがちです。でも建築は、その土地の歴史や文化、人々の暮らし方を理解した上で造られるものでもあります。ですから、建築を学ぶには、歴史や地理、宗教、食文化など、幅広い知識や視点が大切です。また、自分の地域では当たり前だと思っていることが、ほかの地域の人には新鮮に映ることもあります。高校生のうちから、さまざまな場所や文化、人の暮らしに興味を持ち、広い視野で物事を見る姿勢を大切にしてください。

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スクールモットーである"Mastery for Service"は、「奉仕のための練達」と訳され、関西学院の人間として目指すべき姿を示しています。1889年にアメリカ人宣教師W.R.ランバスによって創立された関西学院は、このスクールモットーを体現する、世界市民を育むことを使命とし、現在、関西学院の3つのキャンパスでは、約2万人の学生が個性あふれる14学部で学んでいます。2021年4月からKSC(神戸三田キャンパス)は文系の総合政策学部と理系の理、工、生命環境、建築学部の5学部体制となりました。